2018年11月18日(日)

米SEC、テスラのマスクCEOを提訴
株式非公開化のツイート巡り

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2018/9/28 6:32 (2018/9/28 12:10更新)
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【シリコンバレー=中西豊紀】米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が8月に株式非公開化の方針をツイッターでつぶやきその後撤回した問題で米証券取引委員会(SEC)は27日、投資家を欺いたとして同氏を提訴した。マスク氏にテスラの経営から身を引くよう求めており、訴えが認められれば同社の経営に大きな打撃となる。

経営者の交流サイト(SNS)での発言を巡って、SECが事実上の退任を求めるのは異例。情報発信が容易になったネット時代の資本市場のルールや経営者のモラルが改めて問われることになる。

ニューヨーク南部地区連邦地裁にSECが出した訴状によると被告はマスク氏個人で、同氏による8月7日のツイートを問題視した。1株あたり420ドルでテスラ株を買い取り、非公開にする計画を示し「資金は確保した」としていた。この発言についてSECは価格や原資が「議論も確定もしていなかった」と指摘した。

2200万人超がフォローする同氏のツイートは株式市場で材料になり、7日のテスラ株は場中のツイート直前と比べ6%以上上昇した。SECはマスク氏のツイートが、投資家を欺くことを禁じている米証券取引法に反すると判断した。

SECは訴えでマスク氏に民事上の制裁金の支払いなどのほか、公開企業の経営に関わることを禁じるよう求めている。テスラは米ナスダック市場に上場しており、判決次第ではマスク氏がCEO職を追われる可能性がある。

仮にマスク氏がテスラの経営に関与できなくなった場合、同氏のカリスマ性に魅了されて支援してきた投資家が離反する恐れがある。テスラは先行投資がかさんで資金流出が続いている。また同社は、技術者など人材の確保でもマスク氏個人の存在が大きい。経営への懸念から27日の米株式市場の時間外取引で同社株は12%近く下落した。

SECのスティーブン・パイキン共同ディレクターは声明で「企業のトップは投資家に対し重要な責任を負っている」と指摘。その上で「(トップの)セレブリティーとしての地位やテクノロジーの革新者としての名声が、その責任を軽んじることの免罪符にはならない」と厳しく断じた。

一方でマスク氏は同日出した声明で「不当だ」と反論。「自分は常に投資家の利益を最大限考えてきた」と述べた。

マスク氏は1999年にペイパルの前身会社を共同で設立し、02年にはロケット開発製造会社のスペースXを創業した。04年には前年にできたばかりのテスラの経営に参画して、後にCEOになった。

EV市場を一気に広げた功績や、政府主導のロケット開発を民間ビジネスへと引き寄せた手腕などが評価され、同氏はシリコンバレーの投資家や他の起業家から熱狂的な支持を集める。一方で直近ではマリフアナ(大麻)の吸引場面がネットで流れるなど、不規則な言動も目立った。

今回のSECに加え、米司法省も刑事罰を適用できるかどうかの視点からマスク氏のツイートについて捜査を始めている。SECが指摘するようにシリコンバレーでは「セレブリティー」として知られるスター起業家のマスク氏だが、キャリアの大きな転機を迎える可能性がある。

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