2018年10月22日(月)

自賠責支払い、被害者へ多く 最高裁が初判断

社会
2018/9/27 21:06
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交通事故被害者が政府の労災保険の給付では補いきれない損害を受けた場合、加害者の自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)からどれだけ保険金を受け取れるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(小池裕裁判長)は27日、保険会社は従来の運用よりも被害者への保険金を増やさなければならないとの初判断を示した。今後は被害者がより多く保険金を受け取れるケースが増えるとみられる。

政府は交通事故被害者に労災保険を給付した場合、その給付分を加害者の自賠責保険に請求できる権利を持つ。その一方で、被害者の損害が労災給付だけでは補いきれなかった場合、被害者は加害者の自賠責保険にも保険金を直接請求できる権利を持つ。

こうしたケースで、被害者と政府の請求額の合計が加害者の自賠責保険の保険金を超える場合、これまで保険会社はそれぞれの請求額に応じて保険金を案分する運用をしてきた。しかし、政府よりも被害者の権利を優先すべきだとした最高裁の初判断により、保険会社は今後、運用の見直しを迫られそうだ。

判決によると、被害者の男性は2013年、仕事でトラックを運転中に軽自動車と衝突し、後遺障害が残った。労災保険から計約908万円の給付を受けたが、なお損害が残っているとして、加害者が自賠責保険に加入していた東京海上日動火災保険に対し、約580万円の支払いを求めて提訴した。

第1小法廷は判決理由で、自賠責保険制度の趣旨を「保険金で確実に損害の補填を受けられるようにし、被害者の保護をはかるもの」とし、保険金を優先的に受け取れないのは制度の趣旨に沿わないと指摘。政府の請求権によって被害者の請求権が妨げられるべきではないと判断した。

その上で、保険金344万円を被害者に支払うよう命じた二審、東京高裁の判断を維持。遅延損害金の算定についての審理を同高裁に差し戻した。東京海上日動は「内容を精査し、判決の趣旨を踏まえて適切に対応していく」とコメントした。

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