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勤務間インターバル導入1.4%どまり 企業が二の足

19年度から努力義務、定着に課題

仕事を終えてから次の始業までに一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル制度」。2019年4月から企業に導入の努力義務が課される。「過労死防止の切り札」ともいわれるが、直近の調査で、導入済みの企業はわずか1.4%にとどまった。業務への支障を懸念し、二の足を踏む企業も多く、定着には課題も残る。

「自宅で過ごす時間が増え、体力的にも精神的にも楽になった」。17年1月に同制度を導入した情報サービス業のAGS(さいたま市)。システム管理を担当する木村宗興さん(41)は喜ぶ。

同社の制度は休息時間を11時間としており、通常の出社時間である午前9時に出社するには、前日午後10時までに退社する必要がある。

顧客企業でシステムトラブルが発生した場合には深夜の対応も必要になる業態だが、同じチームで働く社員一人ひとりが対応できる業務の範囲を広げ、一人の社員が仕事を抱え込まないよう改めた。仕事が深夜になった場合は翌日の出勤時間をチームで共有し別のメンバーが引き継ぐ。木村さんは「仕事を早く終わらせる意識も高まり効率化につながった」と話す。

同社は業務量が集中する日があることを考慮し、月に3~5日は制度を適用しないことも認めている。

ニトリホールディングスも17年8月、10時間以上空けないとシフトを組めない仕組みを導入した。店舗勤務はシフト制。導入前は午後11時まで働き、翌日午前7時に出勤するシフトもあった。

ニトリ港北ニュータウン店(横浜市)の上野貴史店長は「以前は休息を取る意識が低かった。シフト作成後も従業員の様子を見ながら修正するよう心がけている」。

勤務間インターバルは欧米企業で導入が進んでおり、政府は7月に閣議決定した過労死防止大綱に「20年までに導入企業を10%以上にする」との数値目標を初めて盛り込んだ。今年6月成立の働き方改革関連法は19年4月から企業に制度導入の努力義務を課す。

だが、厚生労働省が17年、約6400社(従業員30人以上)を対象に実施した調査では導入済みの企業は1.4%どまり。「(導入を)検討していない」が92.9%に上った。1日単位で労働時間を管理する仕組みに対し企業側は、「繁忙期に融通が利かない」「夜間に対応が必要な業務もある」と敬遠する。

JFEスチールは17年7月から制度を試行しているが、正式導入に至っていない。残業が月60時間を超えた場合、8時間の休息時間を11時間に切り替える制度だが、所定の休息時間を確保できないケースもある。

担当者は「設備の改修やトラブル対応で長時間働かざるを得ないこともある。工夫して導入時期を探りたい」と話す。

労働問題に詳しい光永享央弁護士は「社員の負担を減らすのに実効的だが企業は単独で導入することで競争力が落ちることを懸念している。政府は導入しやすい環境の整備を進める必要がある」と指摘している。

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