2019年2月19日(火)

オペラ 中小ホールが挑む 費用絞り制作、ファン発掘(もっと関西)
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2018/9/28 11:30
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関西の中小ホールがオペラの上演に相次いで挑んでいる。歌声と演奏だけでなく、大がかりな舞台装置や華やかな衣装もオペラの醍醐味。コスト負担が大きいため、上演は体力のある大劇場に偏りがちだ。各館は共同制作や中小ホール向けの編曲、小粒でも魅力的な作品の発信などで、地元にオペラ文化を根付かせようとしている。

■4館共同で上演

「ヘンゼルとグレーテル」の稽古に励む子供たち(兵庫県篠山市のたんば田園交響ホール)

「ヘンゼルとグレーテル」の稽古に励む子供たち(兵庫県篠山市のたんば田園交響ホール)

今月上旬、兵庫県篠山市のたんば田園交響ホールで、フンパーディンク作曲の歌劇「ヘンゼルとグレーテル」の稽古が行われた。ソリストである関西二期会の声楽家と共に、地元の子供たちの合唱団やバレエ団が舞台に立ち、演出家や指揮者の指導を受けた。

今回のオペラは、兵庫県内の公立ホールが共同で演奏会などを上演する「兵庫プロデューサー・パートナーシップ(HPP)」の一環だ。HPPは2015年にスタートしたがオペラは初めてとなる。たんば田園以外に赤とんぼ文化ホール(たつの市)、姫路市文化センター、大阪府の摂津市民文化ホールの4館が参加。30日から来年2月までに各館1日ずつ上演する。

4館は席数450から1500ほどの規模。共同制作でコストを抑える。舞台セットは関西二期会から借用し、舞台道具や衣装は各館が持ち寄った。入場料は大人2000円(前売り)と、1万円以上が当たり前のオペラとしては安値。日本語での上演・字幕付きで初心者や子供でも楽しめる。たんば田園の小林純一館長は「地方でなじみの薄いオペラを根付かせたい」と語る。19年度以降も他館に参加を呼びかけ新作の制作も検討する。

「トスカ」の演出をする井原広樹(右手前、兵庫県川西市の川西市みつなかホール)

「トスカ」の演出をする井原広樹(右手前、兵庫県川西市の川西市みつなかホール)

地方発のオペラで、根強いファンを獲得しているのが兵庫県の川西市みつなかホールの「みつなかオペラ」だ。今年は10月6、7日にプッチーニの「トスカ」を上演する。多くのオペラを送り出した同ホールにとっても、挑戦的な演目だ。

1991年に発足した市民オペラに端を発し、96年の開館以降はホールが中心となり毎年度開催。480席と小規模ながら、多くの音楽賞を獲得してきた。

みつなかはオーケストラピットが小さいホールに合わせ、音楽を小編成用に編曲してきた。同館オペラ音楽監督で開館からオペラで指揮する牧村邦彦は「ファンに楽しんでもらうことを第一に考えれば、こうした工夫も必要では」と語る。しかし、トスカは音楽が重層的で、本来の編成も大きい。「音響と歌い手のバランスをどこまで高められるかがカギ」として、緻密な稽古を重ねている。

これまでの舞台の多くは牧村と演出家・井原広樹のタッグで上演してきた。2016年からは音楽助手を2人起用し、後継者育成も見据えている。「関西を地盤とした若いオペラ指揮者に育ってもらいたい」(牧村)との思いがある。

■「アイデア勝負」

関西でオペラ人材の育成を担ってきた大阪音楽大学ザ・カレッジ・オペラハウス(大阪府豊中市)は11月2、4日にメノッティ作曲の「テレフォン」「泥棒とオールドミス」という20世紀の作品を上演する。

いずれも19世紀の大作と比べ、小粒な作品だ。しかし、制作統括を務める同大学の中村孝義理事長は「地道に続けるため、費用は絞っても良いアイデアで勝負したい」と強調する。

15年に学校創立100周年記念で上演した「ファルスタッフ」の後、制作を1年間休止したが、17年に再開。「ディレクターズチョイス」と銘打ち、客員教授を務める井原と粟國淳、岩田達宗の演出家3人が年替わりで担当する。

関西のオペラ界はびわ湖ホール(大津市)や兵庫県立芸術文化センター(西宮市)が全国区の知名度と集客力を誇る。しかし、創意工夫でオペラは中小ホールでも十分に楽しめる。盛り上げ役は大劇場にとどまらないはずだ。

(大阪・文化担当 西原幹喜)

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