2018年12月17日(月)

FRB、利上げ継続に厚い壁 3カ月ぶり決定2%台に

トランプ政権
経済
北米
2018/9/27 19:00
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は26日、短期金利の指標であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%引き上げ、年2.00~2.25%とすると決めた。利上げは3カ月ぶりで、年内さらに1回、2019年中にも3回の追加利上げを見込む。ただ利上げシナリオには厚い壁も立ちはだかる。FRBは20年中の利上げ打ち止めを想定するが、停止時期が早まる可能性もある。

「米経済は力強い。雇用、賃金、物価、これらすべてが極めて好ましい状態にある」。パウエル議長は26日の記者会見で米経済に強い自信を見せた。大型減税の効果で4~6月期の米成長率は4%台に上振れし、FRBも18年の景気見通しを上方修正した。派手な言動を好まない同氏だが、「過去10年を振り返ると、米景気はとりわけ輝かしい局面にある」とまで言い切った。

FRBが描く先行きの利上げシナリオは、18年中にさらに1回、19年は計3回、20年は1回となった。米政策金利は来年中には3%台に到達しそうで、金融緩和からの出口でもたつく日欧と異なり、FRBは利上げで独走状態にある。

ただ今後の利上げにはいくつもの壁もある。1つは貿易戦争だ。パウエル氏は記者会見で「通商政策の影響は現時点では小さいが、企業の景況感や市場の反応を気にかけている」と警戒感を示した。関税引き上げで米景気が下振れすれば、FRBの強気シナリオは一気に崩れる。国際通貨基金(IMF)は貿易戦争が悪化すれば、米経済は成長率が最大0.9ポイント下振れするとの内部試算を持つ。大型減税の効果も帳消しになりかねない。

もう一つは新興国経済の動向だ。パウエル氏も「巨額のドル建て債務を抱える特定の国に我々の利上げの影響があることはよく理解している」と認めたように、通貨安に見舞われたアルゼンチンは4~6月期の国内総生産(GDP)が前年同期比4%減という大幅なマイナス成長に転落。新興国経済は転換点にある。世界景気への下押し圧力が強まれば、米国も輸出減などの悪影響が避けられない。

政治との間合いも問われそうだ。パウエル氏は「政治的な要素は考慮しない」と、中央銀行の独立性を強調したが、その直後にトランプ米大統領は「利上げはうれしくない」と不快感を示した。20年には大統領選を控え、景気を冷やす利上げへのけん制が強まりやすい。ホワイトハウスとの摩擦が強まれば、金融市場の波乱要素ともなる。

もっとも、26日に公表した政策シナリオでは、20年中に利上げを停止する可能性を示唆した。大型減税の効果は19年後半以降に薄れるとされ、FRBの成長率見通しも20年は2.0%、21年は1.8%と徐々に減速。強気のシナリオでも政策金利は3%強までしか引き上げられない可能性が高い。

想定より早く利上げが打ち止めとなれば、先行きの金融緩和余地も確保できなくなる。米景気は既に拡大局面が10年目に突入。その持続力が途絶えれば、金融政策のダイナミズムも回復できない。

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