毒殺未遂事件の容疑者、ロ軍大佐と特定 英メディア
【モスクワ=古川英治】英調査報道機関ベリングキャットは26日、英国南部ソールズベリーで3月にロシア人元スパイが神経剤で襲撃された事件の容疑者がロシア軍情報機関の大佐であることを突き止めたと発表した。2014年にロシア最高位の勲章「ロシアの英雄」を授与された人物で、「プーチン大統領も身元を知っていた可能性が高い」と指摘した。
ベリングキャットは英当局が5日に顔写真とともに発表した2人の容疑者のうち、ルスラン・ボシロフと名乗る男がロシア軍参謀本部情報総局(GRU)のアナトリー・チェピガ大佐と特定した。03年当時のパスポートの顔写真も公開した。3月の英国入国時のパスポートは偽名でつくられたとみられている。
プーチン氏は12日、2人の容疑者について「民間人だ」「犯罪的なことは何もない」などと発言していた。2人は13日までにロシア国営テレビRTのインタビューで、事件当日にソールズベリーを観光客として訪問したことを認めながら、情報機関員ではないと関与を否定した。
襲撃事件ではロシア人元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏らが一時重体に陥ったほか、神経剤に接触したとみられる女性が死亡した。メイ首相は5日の議会でGRU職員2人による犯行とし「ロシアの国家の高いレベルが関与した」と指摘した。英米仏独などの各国は6日、ロシアを非難する声明を発表している。