2018年12月14日(金)

高校無償化訴訟、朝鮮学校側が逆転敗訴 大阪高裁

2018/9/27 15:10 (2018/9/27 22:21更新)
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高校の授業料無償化の対象から朝鮮学校を外した国の処分について、大阪朝鮮高級学校を運営する学校法人「大阪朝鮮学園」(大阪市東成区)が処分取り消しと無償化の適用を求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。高橋譲裁判長は「処分は違法とはいえない」として、原告勝訴の一審・大阪地裁判決を取り消し、原告の訴えを退けた。

記者会見する原告団(27日午後、大阪市北区)

全国5カ所で起こされた同種訴訟で、初の高裁判決。広島、東京、名古屋の各地裁はいずれも原告側の請求を棄却したが、大阪地裁のみ原告が勝訴していた。10月には東京高裁で控訴審判決、2019年3月には福岡地裁小倉支部で判決が予定されている。原告側は最高裁に上告する方針。

高橋裁判長は判決理由で、朝鮮学校側と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の関係について、(1)指導する関係が成立(2)幹部レベルの人事交流(3)財政面の支援――などを指摘。「教育の自主性をゆがめるような支配を受けている合理的な疑いがある」と述べた。

その上で朝鮮学校側に「就学支援金の管理が適正に行われないことを疑わせる相当な根拠がある」と判断し、無償化の対象外とした処分は「不合理なものということはできない」と結論づけた。

一審判決は、国が無償化対象から朝鮮学校を除外した理由に拉致問題を挙げたことについて「教育の機会均等の確保とは無関係な外交的、政治的な意見」と判断していた。

高裁判決を受け、原告側の弁護団長を務める丹羽雅雄弁護士は記者会見し、「子供の人権に関わる裁判なのに、その視点が全くない」と批判。大阪朝鮮学園の玄英昭理事長は「学校と朝鮮総連は切っても切れない協力関係にある。その何がいけないのか。怒り心頭で我慢ならない」と話した。

国は「主張が認められたものと受け止めている」とのコメントを出した。

制度導入当初から対立 国、朝鮮総連との関係懸念

高校無償化制度は導入当初から朝鮮学校への適用の是非を巡り、国と学校側の対立が続いてきた。国は、学校側と朝鮮総連や北朝鮮との関わりについて「密接な関係が疑われ、無償化資金が授業料に充てられない懸念がある」と主張する。27日の大阪高裁判決は、就学支援金が適正に管理されない疑いがあると指摘。国の裁量を妥当とする司法判断が相次いでいる。

高校無償化は民主党政権下の2010年4月、公立校の授業料を実質無償に、私立校は世帯年収に応じて就学支援金を支給する制度として施行された。高専や民族学校、インターナショナルスクールも対象になっている。

大阪朝鮮学園は10年11月に適用を申請。北朝鮮による韓国側への砲撃事件を理由に審査が一時停止し、自公政権となった後の13年2月、適用の対象外が決定した。文部科学省によると審査基準には「学校が他の団体に支配されてはいけない」という趣旨の文言があり、「(朝鮮総連とは関わりがないという)確証が得られなかった」(担当者)という。

大阪以外の3地裁の判決は、いずれも原告が敗訴している。

17年9月の東京地裁判決は、無償化の支援金が授業料に充てられる確証がないとした国の判断に「不合理とはいえず、裁量権の逸脱や乱用はない」と指摘。18年4月の名古屋地裁判決は、北朝鮮の最高指導者を絶対視する教育内容が「生徒に偏った観念を植えつける疑いがあった」とした。

国の制度に合わせ、独自に私立高校への授業料支援を始めた大阪府も11年度、大阪朝鮮高級学校に補助金を交付しないことを決定。大阪朝鮮学園は不支給決定の取り消しなどを求め、大阪地裁に提訴した。学園側は一審、二審・大阪高裁ともに敗訴し、最高裁に上告して受理されている。

麗沢大の八木秀次教授(憲法学)の話
 今回の判決の特徴は在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との関係を具体的に事実認定した点だ。朝鮮学校が極めて政治的な色彩を帯びた教育機関だと司法が判断したことに意義があり、教育基本法の禁じる不当な支配を受けていると認定された意味は大きい。朝鮮学校の就学支援金の使途も不明瞭で、国の不支給決定は一定の合理性がある。
日本女子大の坂田仰教授(教育法制)の話
 就学支援金とは、家庭の経済状況にかかわらず教育を受ける権利を保障するものだ。対象は生徒個人であって、学校に対する支援ではない。今回の判決は、就学支援金の不支給を適法としており、民族教育を受ける権利が侵害される恐れがある。支援金を学校に支給するのではなく、各家庭に支給するなど、現行制度の見直しも検討すべきだ。

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