2019年6月17日(月)

GAFAが今欲しがる、「炎上」防ぐための人材

CBインサイツ
コラム(テクノロジー)
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2018/10/1 2:00
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CBINSIGHTS

 米国の巨大IT(情報技術)企業への逆風が強まっている。データ管理の甘さや独占の弊害を理由に批判を受ける「テックラッシュ」(テクノロジー企業へのバックラッシュ=反発)が、データ資本主義の担い手たちにとって放置できない頭痛の種だ。巨大IT企業が真剣に対策に乗り出していることは、その採用戦略から読み取れる。高度な技術を持つエンジニアの獲得競争を繰り広げていたIT企業は今、「炎上」を防ぐためにどんな人材を求めているのか。

顧客情報の不正利用やデータ流出、インターネットへの監視などで、消費者のIT企業への信頼が損なわれている。

日本経済新聞社は、スタートアップ企業やそれに投資するベンチャーキャピタルなどの動向を調査・分析する米CBインサイツ(ニューヨーク)と業務提携しています。同社の発行するスタートアップ企業やテクノロジーに関するリポートを日本語に翻訳し、日経電子版に週1回掲載しています。

米エデルマンが毎年実施している信頼度調査「エデルマン・トラストバロメーター」によると、2018年の検索エンジンやソーシャルメディア・プラットフォームへの信頼度は前年よりも11ポイント下がった。

IT各社が受ける「テックラッシュ」。「GAFA」(グーグル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アップル)もその渦中にある。

フェイスブックは株価が下落し、各国の規制当局から捜査を受けている。グーグルは人材が流出し、規制の対象となっている。アマゾンとグーグルは米大統領からやり玉に挙げられ、アップルはグーグルと同様に、中国政府による検閲への対応を巡り批判を受けている。

「テクノロジー」「プライバシー」「IT大手」がニュースで話題に

「テクノロジー」「プライバシー」「IT大手」がニュースで話題に

GAFAの4社は世間の信頼を維持しようと必死だ。テックラッシュ対策のかじ取りや企業イメージの回復、ビジネス慣習の改革を担う専門家の採用を戦略的に進めている。

今回のリポートではGAFAの求人情報に注目し、プライバシーやセキュリティー、倫理の問題をどう捉えているかを読み解く。

特に興味深かったのは、次の求人だ。

グーグル:機械学習の倫理担当の調査アナリスト

アマゾン:音声アシスタント「アレクサ」のプライバシー・顧客信頼担当マネジャー

フェイスブック:傘下の対話アプリ「ワッツアップ」の選挙ポリシー担当マネジャー

アップル:プライバシー・コンプライアンス(法令順守)部門ディレクター

グーグルとアマゾンはスマートホーム技術のプライバシー部門ディレクターを募集している。この技術のプライバシー管理は甘いとされる。

両社は最近、人工知能(AI)アシスタントが所有者の会話を盗み聞きしたとして批判を浴びた。

米IT大手はテックラッシュ対策の人材を求めている。(左上から時計回りに)グーグル、アップル、アマゾン、フェイスブックのロゴ

米IT大手はテックラッシュ対策の人材を求めている。(左上から時計回りに)グーグル、アップル、アマゾン、フェイスブックのロゴ

グーグルはAIスピーカー「グーグルホーム」やスマートホーム製品シリーズ「ネスト」のソフトウエア技術部門ディレクターを探している。技術開発の段階からプライバシーを考慮した製品が実用化できれば、プライバシー対策で先行できる可能性がある。

この仕事はグーグルの顧客のプライバシーを確保するために、あらゆる技術やユーザーの体験、製品プランをチェックして批評し、指導する。現在空席のプライバシー・セキュリティーポリシー担当マネジャーも見つかれば、イメージ向上につながるだろう。

アマゾンも機器の設計段階でプライバシーに目を配るアレクサのプライバシー・顧客信頼担当マネジャーを募集中だ。採用者は電子書籍リーダー「キンドル」や「ファイアタブレット」、映像配信端末「ファイアTV」、AIスピーカー「アマゾンエコー」を生み出した「ラボ126」に配属される。

フェイスブックはなお大量の個人情報漏えい問題や、ロシアによる米大統領選への介入疑惑に絡む捜査の影響を引きずっている。

同社は現在、新製品や機能のプライバシーへの影響を査定し、指針づくりを担うプライバシーポリシー担当ディレクターを募集している。また、プライバシー関連政策担当ディレクターの採用も進めている。この求人には、新規・既存のプライバシー関連法の方向性に影響を及ぼすために、政治家とさらに緊密に連携するという同社の見通しが反映されている。

フェイスブックはプライバシーの強化に向け、ブロックチェーン(分散型台帳)技術を導入する可能性も示唆している。今のところ、ブロックチェーンのポリシー担当マネジャーは空席だ。

一方、アップルはウェブブラウザー「サファリ」でのネット閲覧や「iPhone」の利用者情報へのアクセスを求める法執行機関に関するプライバシー対策に引き続き取り組んでいる。アップルのプライバシー対策は業界で最も進んでいるとされる。

アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)は最近「当社にとってプライバシーはいわば人権だ。これは米国特有の市民の権利で、表現の自由や報道の自由のようなものだ。プライバシーは当社の最優先課題だ」と強調した。

アップルが現在、プライバシー・コンプライアンス部門ディレクターを募集しているのは、クック氏がプライバシーをやはり重視していることの表れだ。この役職は、同社が世界各国の既存・新規のプライバシー規制を守っているかを監視する。

さらに、欧州連合(EU)の「一般データ保護規則(GDPR)」や米「カリフォルニア州消費者プライバシー法」など、製品を販売する国・地域に応じた様々な法規制への対応も求められる。

同社は最新のプライバシー関連の法規制に目を光らせ、規制当局の問い合わせに答えるプライバシー法担当ディレクターも募集している。

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