乗員の消火訓練不足、苫小牧沖フェリー火災で運輸安全委が指摘

2018/9/27 10:06
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北海道苫小牧市沖で2015年7月、フェリー「さんふらわあだいせつ」(1万1401トン)で火災が起き、乗員1人が死亡した事故で、運輸安全委員会は27日、運航会社の商船三井フェリーによる乗員への実践的な教育や訓練が不足し、火災発生後に組織的な消火活動ができず、延焼につながったと指摘する調査報告書を公表した。

断線やショートの痕がみられる冷凍機内部の状況=運輸安全委員会提供

火元とみられる車両=運輸安全委員会提供

火災は15年7月31日午後5時10分ごろ、苫小牧市沖を航行中に車両甲板で発生。2等航海士の男性(当時44)が一酸化炭素中毒で死亡した。鎮火は10日後だった。

報告書によると、火災は船内のトラックで稼働中だった冷凍機で発生した可能性が大きい。モーターの配線が切断された後にねじってつながれていた。ショートや断線の跡があり、結線部分が接触不良などを起こして発火したとみられる。

冷凍機はエンジン停止後、船本体の電源ボックスとコードで接続して電源の供給を受けモーターで稼働中だった。バッテリーの配線にはショートの跡はなかった。

出火後、乗員らは冷凍機のカバーを壊さず消火器を使ったため、消火剤が火元に効果的に放射できなかったり、消防員装具を身につけなかったため火元に放水できる位置に近づけなかったりした可能性がある。

脱出シューターを投下するハンドルのさびや、救命いかだの搭載台が動かない不適切な整備もあり、船長と死亡の航海士を除く乗客乗員92人の船外脱出に約55分間かかった。また、報告書は運航会社が火災時の有毒ガスに関する教育を十分に行っていれば、乗員らが危険性をより認識できた可能性があるとした。

海上保安庁は今年7月、トラックの冷凍機のモーター交換時に発火の危険性のあるねじり接続で配線し火災を発生させたとして、担当した自動車整備工場の男を業務上過失致死などの疑いで書類送検している。

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