米利上げ、19年は3回維持 FRB議長「景気に自信」
【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は26日、3カ月ぶりの利上げを決めた直後の記者会見で「過去10年を振り返ると、米経済はとりわけ輝かしい局面にある」と自信をのぞかせた。新興国市場の動揺など懸念材料もあるが、FRBは2019年も3回の追加利上げを見込むなど従来のシナリオを維持した。
25~26日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、会合参加者が提示した政策見通しは、年内さらに1回の追加利上げが中心シナリオとなった。先物市場では12月のFOMCで政策金利を2.25~2.50%に0.25%引き上げるとの見方が大勢だ。FOMCは19年も3回の利上げを想定しており、政策金利は来年中には3%を突破する。
政策金利の引き上げに動けない日欧と異なり、FRBが利上げ路線を着々と進めるのは国内の景気動向に自信を深めているためだ。トランプ政権による大型減税の効果で目先の景気が上振れし、FOMC参加者が見込む18年10~12月期の成長率は3.1%(中央値)と、6月時点の予測より0.3ポイントも上方修正した。同期の物価上昇率も2.1%と目標の2%をやや上回るとみており、パウエル氏は「雇用、賃金、物価のすべてが好ましい状況だ」と力説した。
もっとも、20年に想定する利上げ回数はわずか1回にとどまり、21年はゼロとなった。19年後半以降は大型減税の効果が薄れるとされ、FOMCは成長率見通しも20年は2.0%、21年は1.8%と緩やかな減速を予測する。FOMC参加者のうち数人は、21年の利下げを見込んでいることも分かった。
トランプ米大統領は26日の記者会見で、FRBの利上げに対して「うれしくない」と露骨に不快感を表明した。パウエル氏は「政策判断に政治要因は考慮しない」と中央銀行の独立性を強調するが、「任命権を持つホワイトハウスの意向を完全に無視するのは難しい」(中央銀行首脳OB)との声もある。FRBは景気と政治に挟まれ、難しい政策運営を迫られる。
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