2018年12月12日(水)

トランプ氏「米国第一」猛進 選挙・醜聞で強硬色
国連演説

トランプ政権
北米
2018/9/27 2:00
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【ニューヨーク=永沢毅】トランプ米大統領が「米国第一」主義を前面に打ち出した外交に傾斜している。中間選挙が11月に迫り、成果を迫られるトランプ氏は国際協調や同盟国の存在を軽んじて、恫喝(どうかつ)もいとわない。米国の影響力に陰りがみえるなかでの中国との覇権争いの激しさも底流にあり、その強硬色は一時的なものにはとどまらない公算が大きい。

25日、国連総会で演説するトランプ米大統領(ニューヨーク)=ロイター

25日、ニューヨークの国連本部。「私たちはグローバリズムの思想を拒絶し、愛国主義を信奉する」。就任から2回目となる国連総会の一般討論演説でトランプ氏はこう宣言した。グローバリズムに背を向けるとともに、米国第一にまい進する方針を強調した。

自由貿易と民主主義を両輪とするグローバリズムは長く米国がけん引役だった。しかしトランプ氏は中国との貿易戦争に突入し、保護主義的な政策に拍車をかける。今回の演説でも「貿易不均衡は全く許容できない。市場をゆがめる中国のやり方は耐えられない」と明言。1年前の国連演説では避けた名指しの中国批判を解禁し、一歩も引かない姿勢をみせた。

強硬姿勢に駆り立てているのは1つには内政事情だ。11月の中間選挙では与党・共和党が下院で過半数割れする観測が浮上する。中間選挙敗北なら政策実現へ議会の壁が高くなるだけでなく、20年の次期大統領選での自らの再選戦略の練り直しも迫られる。支持層のつなぎ留めのために強硬姿勢がさらに強まるとの見方は強い。

その逆風の要因は足元で相次ぐスキャンダルだ。自ら指名した保守派の米連邦最高裁判事候補のカバノー氏には性的暴行疑惑が次々と発覚。米国の最高裁は賛否が割れる法律の最終判断を示すなど政治的影響力が強いことで知られる。保守派判事の任命はトランプ氏の成果となるが、相次ぐ疑惑で与党内からも懸念が強い。来週に予定する承認手続きができなければ政権へのダメージは計り知れない。

政権内部の不協和音も目立つ。先週にはローゼンスタイン司法副長官が憲法の手続きにのっとってトランプ氏の解任を画策した可能性も明らかになった。大統領の解任については米紙ニューヨーク・タイムズに匿名で投稿した政府高官も検討したことがあると認めた。トランプ氏は週内にも副長官と面会する予定だが、解任すれば画策の動きがあったと認めることにもなるリスクがある。

もっともトランプ氏の「恫喝外交」の背景には、冷戦後続く米国の一極支配が弱まっているという構造変化も大きい。中国は30年代前半にも米国を抜いて名目国内総生産(GDP)で世界首位になるとの見方がある。中国が掲げる産業振興策「中国製造2025」を米国が問題視するのも、米国の基幹産業であるハイテク覇権の争いにとどまらず軍事技術の優位性をも左右するためだ。

「一帯一路は中国による経済支配が最終的な目標だ」「習近平(シー・ジンピン)国家主席は覇権をめざさないと言っているが、ウソを言っているのは明らかだ」。米議会の上院議員16人が8月にポンペオ国務長官とムニューシン財務長官に包括的な対中政策の作成を求めて送った書簡では、こんな警戒感があらわになった。経済・軍事両面で中国が米国の圧倒的な優位を脅かしているとの認識は、トランプ氏だけでなく、米議会にも与野党問わず広がっている。

トランプ氏は演説で「海外援助は米国に敬意を払う者にしかやらない」と指摘したが、裏を返せば米国に余裕がなくなった証左でもある。こうした考えを米国民の多くも受け入れ始めている。

「16年の大統領選で米国民は腐敗したグローバリズムを拒絶する選択をした。私は米国の大統領であって地球の大統領ではない」。国連総会に先立つ20日、ネバダ州での政治集会での演説で、トランプ氏がこう訴えると会場からは大きな拍手がわいた。

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