2018年12月19日(水)

日産の検査不正、責任の所在見えぬまま最終報告書

品質不正
自動車・機械
2018/9/26 17:19
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日産自動車は26日、新車の排ガス検査の測定値を改ざんしていた問題で、社内調査の最終報告書を発表した。排ガス関連では新たな不正は見つからなかったものの、別の検査の11項目でも不適切な事例が発覚し、改めて品質管理への甘さが浮き彫りとなった。日産は今回の報告書を昨年から相次ぐ一連の不正検査問題の幕引きにしたい考えだが、経営陣ら責任の所在は曖昧なままだ。

記者の質問に答える日産自動車の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)=26日午後、東京・霞が関

■不正の対象は拡大

「昨年9月の完成車検査問題の発生から全社を挙げて再発防止に取り組む中、このような行為が行われており大変遺憾です」。26日午前、日産の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は不正検査問題の最終報告書を国土交通省幹部に提出して陳謝した。

報告書は弁護士事務所に従業員への聞き取り調査などを委託して作成した。

排ガス関連では国内5工場で測定値を書き換えるなどの不正があった。詳細調査の結果、対象車は1205台と従来の調査よりも約30台増えた。いずれも国が定める保安基準は満たしているとしており、リコール(回収・修理)の必要はないとしている。

排ガス関連とは別に新たな不適切な検査の事例も11項目見つかった。ブレーキ関連の検査を3工場で一部実施していなかったほか、騒音検査では路面の乾燥状況など定められた試験条件を書き換えていた。また、車体の重量測定などでもガソリンを詰めずに実施していたことなどが明らかになった。同社は現在生産する車を使って正しい方法で試験を再実施するなどし、出荷した車の品質は確認できたとしている。

日産は再発防止策として検査の担当者の増員や新たな測定装置などの導入も発表した。今後6年間で約1800億円の経費が新設備の購入などにかかるほか、今年度だけで約670人を工場の検査関係で新規採用する。

一連の不正を最終報告書では「会社として役員から工場の監督者に至るまで完成検査の基準に反することの重大性の認識が極めて薄かった」と指摘。そのうえで「あらゆる業務における法令順守意識の徹底を図る」としている。もっとも山内康裕チーフ・コンペティティブ・オフィサー(CCO)は同日の会見で、報酬返納など経営陣の処分については、「着実に対策を実施することに集中したい」と明言を避けた。責任の所在ははっきりしない。

■「ゴーン改革」の副作用も

日産は昨年9月に発覚した無資格者による完成車検査問題以来、相次いで検査の不正が明らかになっている。調査にあたった弁護士事務所が作成した第三者の意見では「工場のコスト管理のあり方そのものが、適切な人員配置がなされなくなり不十分な設備環境が放置された背景に存在する」と指摘している。

現在は会長を務めるカルロス・ゴーン氏のコスト削減を徹底する経営手法が不正の広がりに拍車をかけたという指摘もある。

日産は国内外の工場間で生産効率などを競わせ、優秀な工場に人気車の生産を割り振る戦略を取っている。人件費が割高な国内工場は生産車種を海外工場に奪われるプレッシャーが常に働いていた。その中で国内工場は余裕のない人員配置になりがちで、「検査に必要な人員や教育にかける時間などが以前に比べて削られていった」(日産関係者)という指摘もある。

(伊藤正泰、中藤玲)

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