2018年10月19日(金)

めざすは月、スタートアップが担う宇宙資源開拓

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2018/9/26 15:11
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月や惑星に眠る資源の獲得を目指し、宇宙関連スタートアップの活動が活発になってきた。月探査のアイスペース(東京・港)は米スペースXと組んで2020年に探査機を打ち上げる。月に水資源があることがわかり、現地でロケット燃料が作れれば、惑星旅行など宇宙ビジネスに弾みがつく。宇宙関連スタートアップの投資額は1年で3倍以上に増えるなど大企業や国も期待を寄せている。

アイスペースの袴田CEO(中央)と探査機の実物大模型(26日、東京・港)

アイスペースは26日、イーロン・マスク氏が設立したスペースXと探査機の打ち上げで契約を結んだと発表した。アイスペースの探査機をスペースXのロケットに載せて20年半ばに打ち上げて月を周回する。21年半ばの2回目の打ち上げで探査機を月面着陸させる計画だ。

この打ち上げ計画は「HAKUTO(ハクト)―R」と名付けた。アイスペースの袴田武史最高経営責任者(CEO)は「打ち上げの実績やコストからスペースXと組むことを決めた。月面輸送サービスや資源探査など継続的に打ち上げていきたい」と意気込みを語った。

月探査の目的は月にある水の存在を詳細に調べることだ。

宇宙ロケットの多くは水素と酸素を燃料にするため、月で自ら燃料を作れれば、月旅行や火星など他の惑星探査の開発が大きく前進できる。月には鉄やアルミニウムなど鉱物資源もあるとされる。月から衛星の打ち上げができれば、衛星ビジネスも加速する。

大企業はスタートアップの機動的な開発力に熱視線を送る。アイスペースはKDDI日本航空などから18年2月までに総額103億円の資金を調達。調達先の1社、清水建設は社内に宇宙開発の事業化を進める専門部署を18年春に設立した。氷の掘削や基地建設で新ビジネスが生まれればと期待する。

探査をはじめとした宇宙関連スタートアップへの投資は急増。ジャパンベンチャーリサーチ(東京・港)によると、関連スタートアップの資金調達額は17年が158億円と、前の年に比べて3.2倍に増えた。

国も後押しする。宇宙開発スタートアップに1000億円投じる支援枠を18年度に設けた。30年代に国内宇宙産業の市場規模を2兆4000億円と現在から倍増させるのが目標だ。宇宙航空研究開発機構(JAXA)など宇宙関連の技術者のスタートアップへの紹介も進める。

宇宙資源の獲得は米国を先頭に海外が先行している。米国は30年代中の火星への有人飛行を目指し、中継基地となる月の探査を加速させる。アイスペースと組むスペースXは月だけでなく、火星飛行ももくろむ。

中国も18年末にも月探査ロケットを飛ばす計画だ。ドイツやインド、イスラエルも探査機開発にしのぎを削る。世界の宇宙ビジネスは40年代に100兆円と現在の3倍程度に膨らむとされる。

世界で活況な宇宙ビジネスだが、開発期間と費用がかかるのも特徴だ。しかし、宇宙分野のスタートアップは注目され、実態以上にリスクマネーが集中している傾向がみられる。

官民ファンドの産業革新機構を改組して25日に発足した産業革新投資機構の田中正明社長は「企業の実態を見極め、投資を見送ることもためらわない」と、スタートアップ投資の過熱感を警戒する。

「オールジャパンに固執せず、海外と連携しながら月ビジネスを実現させるべきだ」。野村総合研究所の佐藤将史上級コンサルタントは指摘する。

(榊原健)

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