2018年10月22日(月)

原油、強まる上昇圧力 イラン産の供給減懸念

中東・アフリカ
2018/9/25 21:43
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【カイロ=飛田雅則】原油価格への上昇圧力が強まっている。国際指標の北海ブレント原油先物は日本時間25日、一時1バレル82ドル台まで上昇し、3年10カ月ぶり高値をつけた。米国による経済制裁でイラン産の供給減が懸念されるなか、他の主要産油国が23日、増産を見送った。需給が逼迫するとの不安から、原油市場で先高観が広がりつつある。

「市場には適正に原油が供給されている」。サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は23日、増産の必要性を否定した。石油輸出国機構(OPEC)と非加盟のロシアなどが同日の会合で「現状維持」を決めると、原油市場では買いが膨らんだ。

11月に米中間選挙を控えるトランプ大統領にとって、原油高は好ましい状況ではなかった。23日の産油国会合の直前に「独占組織のOPECはすぐに価格を下げろ」とサウジなどに増産圧力をかけたが、結果は「ゼロ回答」に等しかった。

財政が厳しい中で産油国の多くは収入の大半を原油に頼っており、原油安につながる増産は受け入れられなかった。サウジはムハンマド皇太子の改革を推進するための資金調達を狙った国営石油会社サウジアラムコの新規株式公開(IPO)が事実上、断念に追い込まれ、政府は穴埋めを迫られている。

米国がイラン原油への制裁を復活させるのは11月。既に消費国では買い控えが広がっている。韓国はイラン産の輸入を停止した。日本の石油元売り大手も輸入の一時停止を正式に決めた。イランメディアによると、8月前半の輸出量は日量168万バレルと前月に比べ60万バレルほど減った。大口顧客のインドが大幅に減らしたのが響いた。ペルシャ湾では行き場を失ったイランのタンカーが停泊しているとの情報もある。

米国はイランにテロ組織の支援やミサイル開発などをやめるように求めており、ボルトン米大統領補佐官は「行動を変えるまで、最大限の圧力を続ける」と語っている。

一方、イランメディアによると、同国のロウハニ大統領は「イランの石油販売を妨げる制裁は非常に危険だ。成功するはずがない」と訪問先のニューヨークで米国を強く批判。両国間の緊張が緩む気配はない。

イランの供給が制裁で減っても、サウジなどが肩代わりで増産すれば、相場の急騰は避けられる可能性はある。ただ、増産する余地は狭まるため「余剰生産能力で需要を賄えるのか市場は確信を持てない。価格上昇圧力が優勢」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之首席エコノミスト)との見方が強い。アジアの指標となる中東産ドバイ原油は25日、1バレル79.40ドルと前週末より2.50ドル(3%)上がった。

中東以外の地域でも供給懸念が出ている。米国のシェールオイルは主要鉱区から原油を送り出すパイプラインの能力が限界に迫り、石油を掘削する装置の稼働数は伸び悩む。

ベネズエラやリビアなど他の産油国でも供給不安がくすぶり、市場では先高観が強まる。米バンクオブアメリカ・メリルリンチは21日、北海ブレント原油の2019年の平均価格予想を1バレル75ドルから80ドルに引き上げた。米JPモルガンは18年第4四半期の北海ブレント価格見通しを85ドルに上方修正。「イランの供給リスクは、原油高と米中貿易摩擦による需要側のリスクを上回りそうだ」と分析している。

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