計画と違う飛行293回 墜落の群馬県防災ヘリ
群馬県の防災ヘリコプターが墜落して9人が死亡した8月の事故を巡り、群馬県は25日、2017年4月から事故直前まで、国に提出した飛行計画と異なるヘリの運航が293回に上ったと国土交通省に報告した。県は不適切な対応が常態化していたとの認識を示した。
県によると、運航委託先の東邦航空(東京)の社員は調査に「途中の離着陸場所でエンジンを止めない場合は飛行計画に記入する必要がないと思った」と説明。実際はエンジンの稼働の有無にかかわらず、飛行計画に記載する必要があった。
不適切な運航は17年4月から18年8月9日までの間、墜落したヘリ「はるな」が運航基地の群馬ヘリポート以外に離着陸した計386回のうち、約4分の3に上る。
同様の運用は県防災航空隊が発足した1997年から続いていた可能性があるが、県は事故後に発覚するまで把握していなかった。記者会見した県消防保安課の小見洋課長は「運航管理業務は専門的で、県職員が詳細を理解するのは難しかった」と述べた。
事故当日の8月10日に県防災航空隊所属の東邦航空社員が提出した飛行計画では、途中で着陸して消防隊員を乗せる過程を省略。さらに「ヘリが戻った」と虚偽の報告もしており、社員は「現地での作業が延びているだけだと思った。遭難していないのに捜索活動が始まると混乱させると思った」と話したという。国交省は8月16日、同様のケースがなかったか調査するよう県に行政指導していた。
東邦航空の土井正志総務部長は「航空法に抵触する不適切な計画提出が是正されず、常態化したのは遺憾」と話した。
県は現場に残っている機体を10月中に回収する方針。運輸安全委員会の中橋和博委員長は25日の記者会見で、安全委が今月6日にドローンで現場の地形やヘリとぶつかった樹木の損傷状況を撮影し、分析を進めていると明らかにした。〔共同〕