2018年10月17日(水)

優生保護法改正、実現10年前に検討 旧厚生省「人道的に問題」

社会
2018/9/23 16:52
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旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らに不妊手術が繰り返された問題で、旧厚生省が86年の時点で「人道的に問題」として法改正を検討し、88年には強制手術を廃止する「試論」も作成していたことが23日、厚生労働省が公表した資料で分かった。差別的条項を削除した法改正は96年。その10年前から所管の旧厚生省内で法の見直しが提案されていたのに、すぐには改正が実現せず、その後も不妊手術が行われていた。

公表された資料の一つは「優生保護法の改正について」と題するもの。86年10月に当時の精神保健課の職員が作成し、表紙には「取り扱い注意」と書かれている。この中で旧法が目的とする「不良な子孫の出生防止」について「優生上の見地とは」「不良な子孫とは」と疑問視。強制不妊手術に関し「人道的にも問題があるのでは」とし、5カ年計画で全面的に改正するための手順や予算を具体的に記していた。

また88年8月に母子衛生課が作成したとみられる資料は「優生思想は、もはや時代に合わないのでは」と問題視し、法律名を「母性保護法」と変更する案などを提示。同年9月には「強制手術は人権侵害も甚だしい」「精神障害、精神薄弱などは遺伝率もきわめて低く、優生保護の効果としても疑問がある」と明記し、強制手術を廃止する「試論」を作成していた。

さらに89年3月の精神保健課の資料には、法の目的に関し「人権上の問題、不当な差別」との記載があり、内部で法改正を検討する動きが続いていたことがうかがえる。

一方、強制不妊手術の対象疾患を巡っては精神衛生課が70年3月の資料で、遺伝性以外の精神疾患や知的障害を挙げ「対象者は現行通りでよいか」と疑問を呈していた。

厚労省は一連の資料について「作成された経緯やその後の取り扱いに関しては分からない」としている。国の統計上、強制不妊手術は旧厚生省内で法改正の必要性を指摘する文書が作成されていた86年以降、92年までに18件実施されている。〔共同〕

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