2019年8月21日(水)

日比谷野外音楽堂 「伝説」生んだライブの聖地
今昔まち話

2018/9/22 13:37
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今年95周年を迎えた日比谷野外音楽堂(東京都千代田区)

今年95周年を迎えた日比谷野外音楽堂(東京都千代田区)

「今日は本当に最高じゃ。どうやら、この鉄の檻(おり)は人の心までも縛れんようじゃな。ざまあみろ!」。1987年7月4日夜。ザ・ブルーハーツのボーカル、甲本ヒロトさんの声が約3000人の観客で埋まるライブ会場に響き渡った。そして名曲「リンダリンダ」に。メンバーがステージを跳ね回り、夜空に観客の大歓声がこだました。

この日のライブはいつもと違っていた。約3カ月前、別のバンドのライブで観客がステージに殺到し死傷事故が発生。観客席に柵が設けられ、多くの警備員が配置された。当時会場にいたファンの高橋憲一さん(51)は「会場の景色に違和感を覚えたが、メンバーは普段と変わらないライブを見せてくれた。忘れられない思い出」と語る。この日のステージはファンの語り草だ。

舞台となった日比谷公園大音楽堂(野音)は今年で95歳。音楽の聖地は多くの「伝説」を生み出してきた。

75年、矢沢永吉さん率いるロックバンド「キャロル」の解散コンサートではセットが燃えて火事騒ぎに。77年には人気絶頂にあったキャンディーズが「普通の女の子に戻りたい」と解散を宣言し、ファンの悲鳴に包まれた。84年には尾崎豊さんがステージの照明具から飛び降り、足を骨折しながら歌い続けた逸話が残る。

菊本誠二館長(58)は「東京のど真ん中で夜空を見上げながら好きなアーティストと大声を張り上げる。そんな環境、ほかにないでしょう」と野音の魅力を語る。ステージの向こうに霞が関の官庁街。「東京ミッドタウン日比谷」も間近にそびえる。ビルに囲まれながらも、この開放感が多くのドラマを演出してきた。

チケットを購入できなかったファンの「音漏れ参戦」も見慣れた光景だ。人気歌手のコンサートでは、場外に降り注ぐ歌声にじっと耳を傾ける人々が周辺にあふれる。

野音のコンサートは4月から10月までの土日祝日のみ。公演の1年前に行われる抽選の倍率は今も「50~100倍」(菊本館長)という人気ぶりだ。野音は11月から5カ月間の補修工事に入る。来年の春、リニューアルしたステージはどんな伝説を見せてくれるだろう。

(高岡憲人)

日比谷公園内に立つ「小音楽堂」(東京都千代田区)

日比谷公園内に立つ「小音楽堂」(東京都千代田区)

小音楽堂 1903年に開園した日比谷公園(東京・千代田)内には大音楽堂のほかに「小音楽堂」もある。国内初の野外音楽堂として05年に完成した。23年にできた大音楽堂より先輩となる。客席数は約1100。一般向けの催し物は原則無料で、有料公演には貸し出されていない。
 完成当初は軍楽隊の定期演奏会などが開かれていたが、関東大震災(23年)で倒壊。その後再建された。49年に始まった警視庁音楽隊の「水曜コンサート」は2011年に1000回を達成し、その後も記録を更新している。

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