2019年4月20日(土)

電力供給、想定超す喪失 北海道停電の検証始動
3度の負荷制限も及ばず

2018/9/21 21:33
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北海道で起きた大規模停電を検証するための第三者委員会が21日、都内で初会合を開いた。道内全域のブラックアウトにつながった一因に、電力の需給バランスを保つために3回にわたって一部地域を強制停電したのに、北海道電力が事前に設定した強制停電の容量以上に電力供給が失われたことがあることが分かった。第三者委はこうした状況を含めて詳細な検証を進めた上で、再発防止策をまとめる方針だ。

第三者委は経済産業省の指示で認可法人の電力広域的運営推進機関が設置した。委員長には横山明彦東大大学院教授が就いた。オブザーバーとして出席した北海道電の藤井裕副社長は会合冒頭で「大変な不便をおかけして深くおわびしたい」と陳謝した。

電気は原則、ためることができない性質があり、需要と供給が一致する必要がある。発電所は需要に合わせてきめ細かく出力を調整し、需給を一致させている。需要に対して供給が少ないと、バランスが崩れてブラックアウトになる可能性がある。需給が一致している場合、電力が1秒間に振動する回数を示す周波数は東日本は50ヘルツ、西日本は60ヘルツに安定する。

事務局が示した資料によると、北海道では地震後、電力の需給バランスを保つために一部地域を強制的に停電させる「負荷制限装置」が3回作動した。同装置は条件によって48.5ヘルツや48ヘルツを下回ると作動する。

1回目は6日午前3時7分の地震直後に苫東厚真の2、4号機が停止したときだ。ほかの発電所を含めて一気に181万キロワット供給力が減った。2回目は同1号機の出力が低下したとき。いずれも停電させて需要を減らしたため、需給バランスはその時点では回復して、周波数も安定に向かった。本州からの連系線による電力融通も貢献した。

だが苫東厚真1号機の停止で作動した3回目の強制停電はほとんど効果がなく、3時25分にブラックアウトに陥った。北海道電は緊急時に備えて強制停電の上限を計146万キロワットに設定していた。他の発電所の停止もあり、これを上回って供給力が落ちたとみられる。会合後に記者会見した横山委員長は「今回の停電は需要と供給のバランスで説明できる」と述べ、急激な供給減が要因であるとの認識を示した。

一方、地震直後に道東地域と北見地域が停電したのは、地震の揺れによって送電線が故障したためとみられる。これらの地域の電力需要は13万キロワットで、域内には43万キロワット分の水力による発電があった。送電網が切り離されたことで供給過剰となり発電所が停止したという。水力発電が全体の電力系統に接続され続けていればブラックアウトを避けられた可能性もあり、今後検証を進める。

北海道電の対応が適切だったかどうかも焦点だ。人為ミスの有無について横山委員長は「停電前は適切に行っていた」と説明。停電後の対応は今後検証するとした。

第三者委は今後、ブラックアウト後からの電力の復旧状況を検証し、再発防止策を検討する。21日の会合では具体的な論点として、北海道電が1つの火力発電に電源を依存した運用が適切だったかどうかや、強制停電の上限の水準の見直しの必要性などを挙げた。

10月中に中間報告をまとめた上で年内にも最終報告をまとめる。世耕弘成経産相は21日、会合に先立ち「スピード感をもって大規模停電の原因や分析に基づいた再発防止策をたてることが非常に重要だ」と語った。

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