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球場が呼んでいる(田尾安志)

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志半ばで引退の村田 球界は救えなかったか

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2018/9/23 6:30
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球界の秋は覇権を争う大一番の季節であるとともに「卒業」のシーズンでもある。今年も多くの選手がユニホームを脱ぐ決断をしたなか、村田修一(37)の引退には複雑な思いを禁じ得なかった。はたして、今が「その時」だったのか。

村田は昨季限りで巨人を自由契約となり、今季は独立リーグ、ルートインBCリーグの栃木でプレーした。日本野球機構(NPB)を構成する12球団への復帰を目指したものの、7月31日の移籍可能期限までに獲得を希望する球団が現れず、プロ選手のキャリアに幕を下ろすことになった。同様に惜しまれつつ引退していく選手として、阪神で出番がなくなった後、古巣の広島に拾われて復活した新井貴浩とはあまりに対照的だ。

NPB復帰の目がなくなってもしばらく「引退」の二文字を口にしなかったのは、「男・村田」の美学ともいえよう。ただ、意に反してNPBのチームに居場所がなくなり、まだまだ体が動くなかでバットを置かざるを得なくなったことへの戸惑いや未練から、その言葉を発することができなかったというのが真実ではないか。

2017年6月、通算350本塁打を放つ村田。このシーズン後に巨人を自由契約になった=共同

2017年6月、通算350本塁打を放つ村田。このシーズン後に巨人を自由契約になった=共同

以前、このコラムで書いたように、私が日本代表のコーチを務めた2002年の日本・台湾交流大会で日大からメンバー入りしていたこともあり、村田にはずっと注目してきた。横浜(現DeNA)で不動の4番として本塁打を量産。フリーエージェント(FA)の権利を取ると優勝の美酒を求めて巨人に移り、願い通りにリーグの頂点を経験した。

阿部慎之助、坂本勇人とともにチームの柱にまでなっただけに、まさか17年オフで自由契約になるとは思わなかった。ベストナインを取った16年に比べれば成績は落ちたとはいえ、118試合に出て100安打をマーク。三塁守備のうまさも考えれば、誰もが「なぜ」と思う放出だった。

獲得球団、なぜ現れなかった

そこで村田を獲得する球団が現れなかったことも「なぜ」だった。私が何人かの監督に村田を獲得する意志があるかどうか聞いたところ、皆が皆、及び腰だった。理由は村田の年齢が高いことと、チームが若返りの途上にあること。もちろん、若手を育てることは大事だが、伸びるにはいい競争相手がいることが大切だ。そこでうってつけなのが村田のような選手。出番に飢えているから目の色を変えてやるし、ベテランのそういう姿勢が若手には格好の手本になる。お金ではなく出場機会を渇望しているから、それほど高くない年俸で獲得できるだろうし、何より戦力になる。球団にはいいことずくめのはずなのだが。

いかつい風貌から「番長」を思わせるキャラクターが球団フロントに敬遠されたのかもしれない。ただ、ああいう個性的な選手は本来、球界にとって貴重な財産だ。チームも個性がなければ強くても面白くなく、弱くても個性の強いチームは見ていて楽しいもの。勝つだけがプロ野球ではないというのは、05年、創設初年度の弱い楽天を預かって改めて感じたことだ。

フロントや首脳陣が村田を「扱いにくいのでは」と思ったとしても、個性のある選手を見たいのがファン心理というもの。外様が生きづらいとされる巨人で村田がリーダー的存在に上り詰めたのは、成績はもちろん、言葉でもチームを引っ張る強烈な個性がナインやファンに認められ、一定の尊敬を勝ち得たからこそだ。そんな選手を「扱いにくい」と思ったとしたら、それは村田のせいではなく、扱う能力のない上層部に問題がある。ばりばりの選手のプレーを見る機会をファンから奪った責任は重い。

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