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座れて低価格「ファスト焼き肉」 ライバルは回転ずし

「焼肉ライク」新橋店。東京都港区新橋2-15-8 新橋WBビル1F。営業時間は11~23時。年中無休。21席(うち2人用テーブル2卓)
日経トレンディネット

「高回転」「立ち食い」による低価格戦略で人気を集め、店舗数を拡大している「いきなり!ステーキ」。肉が食べたいときに気軽に立ち寄るという人も多いだろう。いきなり!ステーキ同様に、回転率が高く、低価格の焼き肉を売りにした新ブランド「焼肉ライク」が2018年8月29日、東京・新橋に1号店を開業した。1席につき1つのロースターがつく、いわゆる「1人焼肉」の業態だ。手がけたのは焼き肉店「牛角」の創業者で、現在は国内外で焼き肉店や焼き鳥店など約190店舗を手がけるダイニングイノベーションの西山知義会長だ。

コンセプトは「1人でも気軽に行ける、ファストフードのような焼き肉店」。また、ブランドを作るにあたっては回転ずしを意識したという。「牛角をきっかけに低価格の焼き肉店も増えているが、客単価は3000円前後。回転ずしが2000円程度なので1000円も高い。焼き肉も回転率を上げれば多くの客に対応できるので、もっと低価格にできるのではないかと考えた」(西山会長)。いったいどんな店なのだろうか。

カウンターテーブルは12人着席できる

店内は着席スタイル

入り口を入ってすぐの場所に12人が座れる大きなカウンターテーブルがあり、1席ごとにロースターが設置されている。入口から向かって左側には壁に面した5席のカウンターがあり、ほかに2人がけのテーブルが2つある。全部で21席ほどの小さな店舗だ。

回転率を上げるために立ち食い席を設けているのかと思ったが、全て着席できるスタイルだ。「立ち食いと座って食べるのとでは、回転率に差はない。立ち食いのメリットは1人分の席を狭くして多くの客を入れられることだ」と西山会長は話す。「せっかく焼き肉を食べるのだから、ぜいたくな気分も味わってもらいたい」(西山会長)と考えて全席にイスを置いたという。

1人用のロースターがついたカウンターテーブル。荷物はイスの下に収納できる

回転率を上げるために取り組んだのは、オペレーションの効率化だ。冷麺やクッパなどの一品料理は置かず、肉単品かご飯やスープのついたセットのみで提供。これならカット済みの肉を盛り付けて提供するだけなので、注文から約3分で提供できるという。店内ではサラダなどのサイドメニューや酒も提供するが、「入店から食べ終わるまでの滞在時間は約25分と想定している」(西山会長)。単純計算しても、ランチタイムに2回転できるということだ。

焼き網は1回ごとの使い切り

メニューは大きく分けて2つ。肉にご飯、キムチ、スープがついた「おすすめセット」か、肉単品とご飯などを組み合わせる「カスタムメニュー」から選ぶ。一番手ごろなセットは530円。ランチタイムやディナータイムでメニューは分けていないので、夕食と考えるとさらに割安感があるだろう。また、減量中などで炭水化物を抜きたい人は、カスタムメニューから肉だけを注文することも可能だ。

「カルビ&ハラミセット」(200g、1210円)。セットメニューに好みの肉のハーフサイズ(50g)を「トッピング」として追加注文できる。左上にあるのは「和牛上カルビ」(50g、580円)

専門の業者がカットしているだけあって、運ばれてきた肉はほぼ均一で、厚さの違いやスジが残っているというような「当たり外れ」がない印象。肉質も軟らかくて甘めのタレと好相性だ。カウンターにあるゆず胡椒や七味などを追加して好みの味に調整もできる。

無煙ロースターなのでにおいや煙を気にせず食べられる。焼き網は一回での使い切りだという

驚いたのは、焼き網の処理方法だ。食べ終わると網を外して汚れやごげつきを落とすのが一般的だろうが、「網の汚れを落とすのは意外と大変なので時間がもったいない」(西山会長)とし、一回ごとの使い切りだという。確かにあまり広いとはいえない厨房で何度も焼き網を洗うのは効率的ではないだろう。

複数で訪れる場合は店員に声をかけるとついたてを取り外してもらえる
肉には味がついているが、好みで卓上の七味、ゆず胡椒などを追加できる

「ファスト焼き肉」はフランチャイズしやすい

当面は都心の繁華街を中心に店舗を増やす方針。1号店は新橋という土地柄30~40代の男性がターゲットだが、女性1人でも立ち寄れるような内装を意識したという。

今後は郊外にも進出し、ファミリー層も狙う。郊外店はカウンターではなくテーブル席が中心で、ロースターも1人ひとつではなくテーブルごとになる可能性もある。そう考えると厳密には「1人焼き肉」業態とはいえないだろう。だが、家族で来店する場合も、滞在時間はさほど伸びないと西山会長は見込む。「家族4人で来店して1人300グラムの肉がついたセットを食べたとしても、合計4800円。家族全員でこの値段で焼き肉を食べられる店はほかにないのでは」(西山会長)。小さな子どもがいるので外食に時間をかけたくない人も少なくないだろう。そうした人にとっては、料理の提供が早く、しかも低価格である「ファスト焼き肉」は響くかもしれない。

また、肉のカットが不要で、調理は客自ら担当するという点で従業員の教育にかかる時間も少ない。そのためフランチャイズしやすい業態だと西山会長は考えている。「今後5年で国内300店舗を目指すが、そのうちの8割がフランチャイズになるのではないか。海外にも進出していきたい」と西山会長は意気込む。

ランチタイムは「うす切カルビセット」(200グラム、860円)が多く出ると見込んでいるという
国産牛、和牛として提供している肉の産地は仕入れ状況によって変わる

(ライター 樋口可奈子)

[日経トレンディネット 2018年9月5日付の記事を再構成]

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