2018年12月19日(水)

地域の課題、AI・IoTで解決 広島で取り組み始動

コラム(地域)
中国・四国
AI
IoT
2018/9/21 6:00
保存
共有
印刷
その他

人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながるIoT技術で地域課題を解決しようとする取り組みが広島県で始まった。「ひろしまサンドボックス」と銘打ち、県は事業者に実証実験の場を提供したり、実験にかかる費用を支援したりする。実験を機に県内外のIT(情報技術)企業や人材を広島に集め、今までにない新たな産業の創出を狙う。

第1次公募からは5つの案件が採択され、協議会参加者らの前でプレゼンを行った(8月、広島市)

サンドボックスでは、観光や企業の生産性向上、農業といった分野で地域ならではの課題を最先端技術を活用して解決するアイデアを募り、審査に通れば実験にかかる費用などの補助が受けられる。立候補するには広島県内の企業・団体を1つ含む複数の事業者からなるコンソーシアムを結成した上で、事業案を県に提出する。県は今後3年で最大10億円を同事業の支援に投資する。

第1弾として6~7月に第1次の事業アイデア公募を行った。38件あった応募の中から審査を通じ5つの案件が支援対象に採択された。26日からは第2次公募も始まる。

サンドボックスの狙いの一つは「広島ならでは」の課題解決はもちろん「全国にも通用する広島発の新たなソリューションの創出」(県商工労働局イノベーション推進チームの金田典子・地域産業デジタル化推進担当課長)だ。たとえば農業分野では今回、島しょ部の傾斜地農業の生産性向上、労働環境の改善に向けた事業が採択された。広島・呉のレモン生産業者などの生産、流通や6次産業化支援を手掛けるとびしま柑橘倶楽部(かんきつくらぶ、広島県呉市)と中国電力の通信子会社、エネルギア・コミュニケーションズ(広島市)などがコンソーシアムを組み、提案した。

傾斜地を利用するレモン栽培は作物の生育管理作業そのものが重労働になる。AIやIoTを活用し栽培作業をロボットやドローン(小型無人機)が代替する生産体制の構築などを実験する。

最新技術の知見や人材を集積する狙いもある。コンソーシアムを組みやすくするため、県はサンドボックスに参加したい企業・団体が登録する「推進協議会」を5月に発足。個人や企業などを含む登録者数は現時点で400者を超え、うち25%程度が県外の企業・団体だ。アイデアや考えはあるが具体化する技術やノウハウがないという県内の事業者や、アイデアを試したいので広島で組む適当な事業者を探したいという県外のIT関連企業をマッチングすることで、イノベーションへの「化学反応」を起こす。

「AIやIoTに精通している人材が少ないというのも地元企業の課題。地域のスタートアップ企業などが、(サンドボックスを通じ)県外事業者のノウハウや技術を取り入れることで進化していくという効果も期待している」(金田課長)

今や日進月歩で発展するAI、IoT技術だが、そのプレーヤーのほとんどは首都圏に集中し、地域社会や地域企業への恩恵はまだ少ない。広島県が同分野での求心力を高め、発展の先導役となれるのか。「イノベーション立県」の実現へ新たな挑戦が始まった。(広島支局 佐藤亜美)

保存
共有
印刷
その他

関連企業・業界 日経会社情報DIGITAL

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報