音楽館もシミュレーター初出展、ドイツの鉄道展示会

鉄道車両のシミュレーターを製造する音楽館(東京・品川)は、JR東日本に納入している乗務員向け訓練装置をドイツ・ベルリンで開く世界最大の鉄道ショー「イノトランス」に初出展した。すでに国内の複数の鉄道事業者に納入している実績を生かし、国内外に自社製品を売り込む。
「レフト・リア・クリア。ゴー」。車掌が指さし確認してシミュレーターのブザーを鳴らすと、運転士が運転席を模した別のシミュレーターを操作、ゆっくりと列車を発進する。それぞれの訓練用モニターは連動して実際の風景が流れている。イノトランスではJR東日本が自社ブースで緊急事態への対処や安全運転技術を売り込む実演向けに、音楽館が自社のシミュレーターを出展した。
同社のシミュレーターは実際に撮影した映像をベースに制作するのが特徴。信号表示などは画像を処理し、トラブルの想定など教官の操作で切り替えられるという。機器も実物の列車そっくりの機器を使っている。
向谷実社長は「運転士と車掌が離れた場所にいても、同一の列車のシミュレーションもできる」と話す。運転士向けと車掌向けは単体で操作するだけでなく、インターネット経由で遠隔地でも連携作業などができる。すでにJR東日本では82カ所への納入が決まっており、順次導入を進めているという。
音楽館は1985年の設立。パソコン向けの鉄道運転ゲームなどを手掛けた後、鉄道会社や博物館など向けにシミュレーターを導入してきた。キーボード奏者でもある向谷社長は鉄道ファンとして知られ、テレビ番組などへの出演も多い。
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