2019年7月23日(火)

ダイムラーの自動運転車、荷台変更で乗用・貨物両用

日経産業新聞
コラム(ビジネス)
2018/9/21 11:30
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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

【フランクフルト=深尾幸生】独ダイムラーは荷台部分をまるごと載せ替えて、人の輸送にも貨物の輸送にも使える自動運転車の開発を始めた。ダイムラーのバン部門であるメルセデス・ベンツ・バンが「ビジョン・アーバネティック」としてコンセプト車を発表した。単なるクルマではなく、都市の人やモノの流れを変え得るシステムとして提案する。

メルセデス・ベンツ・バンが発表した「ビジョン・アーバネティック」(10日、コペンハーゲン)

メルセデス・ベンツ・バンが発表した「ビジョン・アーバネティック」(10日、コペンハーゲン)

メルセデス・ベンツ・バンを率いるフォルカー・モーンヒンヴェック氏は「ビジョン・アーバネティックは未来の象徴だ。インターネットにつながり、完全に電動の自動運転車は都市の交通量や大気汚染を減らす」と力をこめる。

アーバネティックの基本となるのは、電気自動車(EV)で完全自動運転のプラットホーム(車台)だ。ハンドルや運転席は設けないが、車台単体での走行が可能。用途に応じて「モジュール」と呼ぶボディーを自動または手動で着脱する。

車両の全長は5.14メートルあり、そのうち荷物や人を乗せるスペースとして3.70メートルを確保。人を輸送する際にはミニバンのような形状になり、貨物を輸送する際には箱形の貨物車のようになる。

車台だけでも自動運転で走りボディーを載せ替えらる

車台だけでも自動運転で走りボディーを載せ替えらる

人の輸送では最大12人が乗車でき、ロボットタクシーやライドシェアリングの用途を想定している。利用者がスマートフォン(スマホ)のアプリを使い、使いたいときに呼び出したり、最寄りの乗り場に出向いたりする使い方を想定している。

乗客輸送から貨物輸送に用途が変わる際には、車台だけが自走して次の場所に移動する。

貨物輸送のモジュールは床が平らな10立方メートルの積載スペースを備える。小包などの輸送では、指紋認証で消費者が自分の荷物だけを取り出すことなどを想定する。他のサービス向けに最適化したモジュールをつくることも視野に入れている。

貨物輸送時の形状

貨物輸送時の形状

モーンヒンヴェック氏は「アーバネティックはただの自動運転バンとは一線を画す」と強調する。クラウドシステムと常に連携し、イベントや天候など地域の情報を考慮しつつ需要を予測して先回りして移動したり、モジュールを載せ替えたりすることを目指す。

自動運転のため、運転手の確保が難しい深夜や早朝でも稼働させることができる。電池を充電する時間を除き24時間365日車両を使えるため、ダイムラーはサービス事業者にとっても運営費用を大幅に下げることが可能になるとみている。

ダイムラーはアーバネティックを実用化する時期について明確に示していない。ただ、4日にはベンツとしてはEVへの本格参入となる多目的スポーツ車(SUV)「EQC」を発表した。2019年には米カリフォルニア州で、一般市民が利用できるロボットタクシーの実証サービスを始める計画もあり、電動化と自動運転化に大きくかじを切っている。

■歩行者らに意図とう伝達?

完全自動運転車の実用化の大きな課題のひとつに「アイコンタクト」をどう代替するかがある。現状では運転手が他のドライバーや歩行者らに目や手ぶりで意思を伝えているが、ロボットタクシーなどは運転手が不在だからだ。

ダイムラーは文字情報を有効なツールだと考えている。10日に発表したビジョン・アーバネティックでも、車両のディスプレーに英語で「stopping(止まります)」「departing(動きます)」などと表示する。

一方、スウェーデンのボルボ・カーは5日に発表した完全自動運転のコンセプト車「360c」で、音と光でほかの車両や歩行者などに意図を伝える方法も提案した。

指向性のある音で特定の歩行者に接近を知らせたり、車体を1周めぐらせた光の帯で静止状態や加減速を伝えたりする。「文字情報は世界の誰もが直感的に理解できる普遍的な方法ではない」として、光や音が基本となる伝達方法の標準化を目指している。

英ジャガー・ランドローバー(JLR)はアニメのような大きな「目」を持つ自動運転車の実験を英国で始めた。

米国自動車協会によると、歩行者と自転車利用者の63%が自動運転車との混合交通が安全でないと考えている。自動運転車が社会に受け入れられるには、センサーや車体制御アルゴリズムなど自動車本体の性能向上もさることながら、外部に安心感を与える仕組みづくりも欠かせない。

〔21日付日経産業新聞掲載〕

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