2018年11月19日(月)

自工会会長「自動車税下げを」 背中を押した3つの波

自動車・機械
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2018/9/20 15:18
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自動車メーカーが国内生産の1000万台弱の維持に危機感を強めている。日本自動車工業会(自工会)の豊田章男会長は20日、「従来の自動車税制の議論では、競争力や雇用の維持は難しくなる」と、欧米に比べて高い自動車税の抜本的な見直しを求めた。背景には消費増税、通商問題、IT(情報技術)大手との新たな競争の3つの変化がある。

記者会見する自工会の豊田会長(20日午前、東京都港区)

記者会見する自工会の豊田会長(20日午前、東京都港区)

■「世界一高いレベルの税金」

「国内生産は理屈を超え、石にかじりついて守ってきた。だが(東日本大震災後の円高や電力不足などの)『6重苦』と比べものにならない変化が迫っている」。豊田会長が会見で最も多くの時間を割いたのが自動車税の引き下げだ。「日本のユーザーは世界一高いレベルの税金を負担している」と強調し、国際的な水準に近い軽自動車税を目安に引き下げ、購入から保有まで9種類ある複雑な税体系の見直しを求めた。

背景にはまず、2019年10月の消費税率の10%への引き上げがある。三菱総合研究所は消費増税で、国内市場は17年度の6%にあたる30万台分の需要が減ると試算する。過去、1997年と2014年の消費増税時には市場の水準が40万~80万台下がり、需要は戻らなかった。だが自動車税は地方の有力な財源にもなっており、財源の確保が大きな課題になる。

2つ目は米国が表明した輸入自動車の関税引き上げ案など、貿易問題への懸念。会見では「日系メーカーは米国への投資を続け、雇用を創出してきた。企業市民として米国の健全な発展に貢献していくため、悩みながら進めている」と慎重な言い回しを繰り返した。日本と米国は近く閣僚級の貿易協議(FFR)を開く予定だが、米国は自動車への追加関税をちらつかせている。

■例年と異なる意志の強さ

17年度の日本から米国への輸出台数は約170万台と国内生産のうち、2割弱を占めた。現在の乗用車と部品の関税は2.5%だが、米国は最大25%の追加関税を検討。日本から米国に輸出する乗用車の関税額は年間1400億円規模だが、追加関税で仮に25%に引き上げられた場合、約8倍の1兆1000億円規模になる見通しだ。自工会幹部は「輸入車・部品の関税が25%になれば、とんでもないインパクトになる」と悩む。

第3の波は自動車メーカーに変革を迫る電動化や自動運転、コネクテッドカー、シェアリングサービスといった技術革新だ。世界最大の300兆円規模の自動車産業を狙い、米グーグルや中国の百度(バイドゥ)などテクノロジー企業の参入も激しい。日系メーカーは世界シェア3割を持ち、直近5年間で海外生産を2割増やしながら、国内生産は950万台前後を維持してきた。だが新たな競争に勝てる保証はなく、国内生産の不透明感も増している。

自動車税下げは、自動車業界が毎年要望している。だが、今回は様子が違う。自工会幹部は「絶対に(減税を)実現させるという強い意志を感じる」と話す。

(工藤正晃)

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