FiNC、資生堂などから55億円調達

健康アプリ開発のFiNC(フィンク、東京・千代田、溝口勇児社長)は資生堂や中部電力など18社から第三者割当増資で約55億円を調達した。既存株主のロート製薬とNEC、第一生命保険も追加出資しており、各社との事業連携をさらに広げる。今回の調達は成長期の「シリーズD」の位置づけ。調達資金は人工知能(AI)の開発やマーケティング費用にあて、海外市場への展開も加速する。
フィンクはスマートフォンアプリを通じてダイエットや健康管理を助けるサービスを展開している。AIのパーソナルトレーナーが利用者にチャットで話しかけながらサポートする。歩数や体重、食事内容などを記録すればポイントがたまり、アプリ内で買い物に使える。2017年3月のサービス開始からアプリのダウンロード数は330万を超えた。
今回の増資は、事業会社では既存株主のロート製薬など3社のほか、新規に資生堂、中部電力、帝人フロンティア(大阪市)、アトラ、江崎グリコ、SOMPOホールディングス、講談社などが引受先となった。資生堂と美容に関連する分野で新技術やサービスの開発に取り組むなど、各社とは事業面でも提携する。
投資会社ではインテージホールディングスとSBIインベストメントが共同で設立したファンドやみずほ証券プリンシパルインベストメントなどが参加した。
技術力をアピールするため、10月に社名を「FiNC Technologies(フィンクテクノロジーズ)」に変える。最高技術責任者(CTO)の南野充則取締役に代表権を付与し、代わりに乗松文夫副社長が代表から外れる。新たに社外取締役として組織作りや人材開発に実績のあるプロノバの岡島悦子社長を迎え、社内体制の強化にも取り組む。
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