アジアの財閥の株主利回り、専業に及ばず
デジタル化で優位性薄れる

2018/9/19 19:30
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【シンガポール=岩本健太郎】東南アジアとインドの財閥企業が過去10年間にわたって株主にもたらした利回りは、特定の業種に集中する専業企業を下回っていたことが分かった。財閥は各国で大きな存在感を示してきたが、経済成長のけん引役がデジタルなど新たな分野に移ったことで、優位性が薄れている。

株価の変動に配当を加えた「株主総利回り」について、米コンサルティング大手ベイン・アンド・カンパニーがこのほど調査結果をまとめた。財閥102社は2007~16年の平均で年間11%。一方、売上高5億ドル(約560億円)以上の専業企業287社では12%だった。

アジアではプランテーション、不動産、食品、建材、金融など旧来型の事業を幅広く展開する財閥が多い。事業規模の大きさや政府との近さから、新規の案件獲得や資金調達、人材確保などの面で有利とみられていた。

こうした財閥について、ベインのティル・ベストリング氏は「従来の優位性がなくなり始めた」と指摘する。政府がスタートアップを支援する動きが広がり、優秀な人材がデジタル分野の企業に流れたり、中小企業がベンチャーキャピタル(VC)などを通じて資金を調達しやすい環境ができたりしたという。

一方、調査によると、財閥のなかでも食品や小売りを手掛けるタイのチャロン・ポカパン(CP)グループ、二輪車メーカーを持つインドのバジャジ・グループはそれぞれ平均を大きく上回る40%、32%の利回りを上げている。調査では具体的に示してはいないが、利回りの低い財閥に対しては投資家の目線も厳しくなりそうだ。

調査対象はインドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、インドの7カ国の財閥。一般に「財閥」と呼ばれることの少ない複合企業も含む。グループとして上場していない場合は傘下の上場会社のデータを基に利回りを算出したという。

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