日立、独展示会で2階建て車両を公開 伊社から受注

【ベルリン=牛山知也】日立製作所は18日、ドイツ・ベルリンで開幕した世界最大の鉄道ショー「イノトランス」でイタリアの鉄道会社向けの新型車両を公開した。同社がイノトランスで実物の鉄道車両を展示するのは初めて。イタリアでは別の鉄道会社からも車両を受注しており、2015年に買収したイタリア子会社や英国にある車両工場などを生かして欧州での事業を拡大する。
「日立が初めてイタリア向けに同国内でデザインと製造を手掛けた車両を披露でき、誇りに思う」。鉄道ビジネスユニットのアリステア・ドーマー最高経営責任者(CEO)は、車両を発注した同国の鉄道会社、トレニタリアの幹部らに強調した。
日立の新型車「ロック」は2階建ての通勤車両で最高速度は時速160キロメートル。5両で656人の定員と大量輸送に対応しつつ、多目的スペースを設置するなど乗客の利便性に配慮したのが特徴だ。追加契約分を含めて最大300両、26億ユーロ(約3000億円)の大型契約となる。日立が15年に買収した日立レールイタリア(旧アンサルドブレダ)を通じて製造し、19年6月の投入を目指す。
同社は13日にもイタリアの鉄道会社、FNMからも50~120編成の2階建て車両の車両納入について契約したと発表。同時にFNM子会社のフェッロヴィーエノルド社から120両の車両を約300億円で受注した。
同社は欧州で存在感を高めているが、英国での事業比率が高く欧州連合(EU)離脱などの外部環境も影を落としかねない。欧州に加えて、米国やアジアなど全世界で事業を展開することが、中国中車(中国)など世界大手と対抗するために欠かせない。