伝統の金魚養殖守りたい 産地愛知・弥富で修業励む

2018/9/19 18:12
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全国有数の金魚の産地、愛知県弥富市にある「深見養魚場」の跡取り、深見直基さん(26)が、江戸時代から続く伝統技術をつなごうと修業に励んでいる。「縁日で金魚すくいを楽しむなど、今でも親しまれる日本の文化。自分の手で守り続けたい」と意気込む。

愛知県弥富市の「深見養魚場」で、父の泰範さん(右)から金魚の選別を教わる深見直基さん=共同

愛知県弥富市の「深見養魚場」で飼育されているランチュウ=共同

「金魚の王様」と言われ、ずんぐりした頭のこぶが愛らしいランチュウを主に扱い、10種ほどを飼育する。毎朝午前5時半から、日没まで働く。真夏や冬場でも同様だ。屋外の大小100個ほどのいけすを清掃する傍ら、父、泰範さん(54)から金魚の選別を教わる。

毎年春に約100万匹がふ化し、早ければ秋にも出荷する。1匹で数万円以上の値が付くものもあるが、商品になるのは1割ほど。大半は廉価で引き取られる。

直基さんは2015年に大学を卒業後、県内の企業に就職。家業を継ぐ気はなかったが、周囲から「深見さんのところは良い金魚をつくっている」と聞かされるうち、祖父や父が受け継いだ技術を終わらせたくないと考え、翌16年秋に退職して弟子入りした。

選別は、稚魚の頃から1匹ずつ手で捕まえ、観察を繰り返す地道な作業だ。泳ぎ方の癖や尾びれのわずかな角度の違い、色合いなどを素早く見極める。直基さんは「最初は何も分からなかったが、徐々にどんな金魚が良いか判断できるようになってきた」と話すが、「まだまだ経験不足」と泰範さんの目は厳しい。

弥富金魚漁業協同組合によると、50年前は約300軒あった生産業者は、需要の低下などを背景に、現在では約80軒まで減少し、後継者不足が課題となっている。生産者の多くは50~60代で、20代の担い手は直基さんを含め2人しかいない。

直基さんは、会員制交流サイト(SNS)といった現在の文化と組み合わせ、見せ方を工夫した金魚のPRも模索する。「金魚を目にする機会を増やして、多くの人に興味を持ってもらえれば」と期待を膨らませている。

〔共同〕

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