2019年5月24日(金)

中国首相、対話解決訴え 米国との貿易摩擦念頭に

2018/9/19 17:25
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【天津=原田逸策】中国の李克強(リー・クォーチャン)首相は19日の天津での講演で「自由貿易の基本ルールを守る。問題があれば協議で解決する。単独主義では解決策を見いだせない」と訴えた。米国を念頭に対話による貿易摩擦の解決を呼びかけた発言だ。人民元の切り下げを否定し、対外市場開放や知的財産保護を約束するなど、圧力を強める米国を意識した発言が目立った。

マクロ経済運営で慎重な発言が目立った(19日、中国・天津)

マクロ経済運営で慎重な発言が目立った(19日、中国・天津)

世界経済フォーラムが開いた夏季ダボス会議での講演。米中が追加関税を応酬し合った翌日だけに発言が注目された。

李氏は直接的な対米批判を封印。「トランプ大統領」どころか「米国」にも言及しなかった。一般論として自由貿易保護を訴え、名指しせず米国に対話を呼びかけた。

李氏の講演で目を引いたのは人民元への言及だ。元は6月から下落傾向が続くが、李氏は「中国が意図した措置ではない」と釈明。「人民元の一方向への下落は中国にとって害のほうが大きい」と踏み込んだ。中国の首相が元売りをけん制するのは非常に珍しい。

李氏は「中国は切り下げを通じて輸出を刺激する方策は取らない」と言明した。トランプ氏が「中国は為替を操作している」と批判したのを意識した発言とみられる。

米国が追加関税をかける根拠となった知的財産の侵害には「中国企業、外資企業でも厳しい処罰、罰金を科す」と表明。取り締まりを強める方針を繰り返した。李氏は米国が求めている市場開放策もさらに進めると強調し、7月に車などを対象に下げた関税を再び下げる計画も明かした。

ただ、李氏の「ソフト路線」が米国に届くかどうかは微妙。トランプ氏は18日、「やりたくないが、恐らく選択肢がない」と述べ、すべての中国製品に25%の追加関税をかける方針を示した。

李氏も貿易戦争による経済への打撃を覚悟しているようだ。マクロ経済運営について「難問や挑戦があり、安定した成果を維持するのが難しい」と認め、18年の経済成長目標(6.5%)を達成できるかに言及しなかった。昨年6月の夏季ダボスで「通年目標は完全に達成可能」と自信をみせた姿とは様変わりだ。

貿易戦争で秋以降の輸出急減が懸念されるが、李氏は「大規模な景気対策はあえて取らない」と繰り返した。国有企業や地方政府の債務急増を懸念するからだ。インフラ建設も「安定的に進める。投資をスケールアップするわけではない」と述べるにとどめ、景気対策は公共投資より減税に力を入れる方針を示した。

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