アマゾンジャパン、新オフィスで狙うイノベーション
アマゾンジャパン(東京・目黒)とアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)は19日、都内の新オフィスを報道陣に公開した。従業員がその日の仕事の内容にあわせて多様な種類の作業スペースから座席を選ぶフリーアドレス制を導入し、AWSの利用者向け共有スペースも設ける。社内外でイノベーションを起こすための仕組みを整えた。
アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は同日の記者会見で「(新オフィスは)社員の働き方を分析してデザインした」と述べた。AWSの長崎忠雄社長は「イノベーションを起こすために最適化されたオフィスだ」と強調した。

新オフィスはJR目黒駅近くのオフィスビルに設け、延べ床面積は約2万平方メートル。アマゾンジャパンとAWSは人工知能(AI)技術者や財務、マーケティングなど計1000人を新規採用する方針を掲げており、新オフィスはその受け皿となる。

新オフィスでこだわったのはアマゾン流のフリーアドレス制度だ。通常の作業用デスクに加え、カフェのような机とイスや樹木に囲まれた空間など多様な作業スペースを用意した。一人で集中して仕事したりチームで作業したりと、仕事内容によって使い分けてもらう。従来のオフィスでも同様の仕組みを順次導入する考えだ。
人材の多様化に配慮した設備も充実させた。約50の国・地域の出身者が働くことに配慮して礼拝室を設置し、子育てをしながら働く女性向けには搾乳室を設けた。ヨガスタジオや防音設備を備えて音楽の演奏ができる部屋など社員の気分転換ができる設備も設けた。「多様な人材が、心地よく働けるようにする」(長崎社長)という。

新オフィスではAWSのアカウントを持っていれば無料で利用できる共有スペース「AWS Loft Tokyo」を10月1日に開設する。利用者はAWSの技術者の助言を受けることができる。利用者同士で交流するイベントも開催する。ジャスパー・チャン社長は「新オフィスを、アマゾンを軸とした多様なコミュニティーを作る起爆剤にしたい」と話している。
(広井洋一郎)