2019年5月25日(土)

スカイマーク、初フライトから20年 破綻越え独自色

2018/9/19 12:51
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スカイマークは19日、羽田―福岡線で就航した初フライトから20年の節目を迎えた。超大型機で国際線を運航する計画に失敗し2015年に破綻。ANAホールディングス(HD)などから出資を受けて再建を果たし、20年までに再上場する計画だ。就航当時は割安料金で話題を呼んだものの、現在は航空大手と12年に本格参入した格安航空会社(LCC)と挟まれた存在になっている。定時運航率の向上などこれまでと違った独自色を打ち出そうともがいている。

スカイマークは経営破綻を経て、就航20周年を迎えた(19日、羽田空港で開いたイベント)

「頑張らないと会社がなくなる最大の危機に社員が一丸となることができた」。スカイマークの佐山展生会長は同日、羽田空港で開いた就航記念式典でこう語った。1998年9月19日に羽田―福岡路線を就航した同社だが、この20年で浮き沈みを経験した。

エイチ・アイ・エス会長である沢田秀雄氏らが中心となり設立され、大手による事実上の「寡占状態」だった国内線市場に新規参入し風穴を開けた。運賃は大手の半額に設定するなどして大手と同一路線で競争を試みたが、対抗値下げなどの攻勢を受ける。新興勢にとって競争環境は厳しく、スカイマークと同じく98年に就航したAIRDO(エア・ドゥ)も経営破綻を経験した。

スカイマークも15年に経営破綻した。国際定期便への参入を目指していたが、事業規模を越えた超大型機の導入を目指したことが破綻の一因となった。ANAHDと投資ファンドのインテグラルの支援のもと再建に乗り出すことになった。

15年に再生計画案が可決されインテグラルの佐山氏が会長に、日本政策投資銀行出身の市江正彦氏が社長に就任し新体制が発足した。佐山会長は「日常の延長線上に飛躍はない。民事再生という非日常の出来事が復活につながった」と振り返る。

スカイマークが再建を進める間、日本の航空産業の競争環境は変貌した。LCCの台頭だ。関西国際空港を拠点とするピーチ・アビエーションや成田国際空港を拠点とするジェットスター・ジャパンが12年以降に路線数を拡大し国内線に占めるLCCシェアは10%程度の水準になった。

LCC各社は航空大手の出資を受けていることがほとんどで路線もすみ分けしている。そのためスカイマークが経験したような大手と同一路線での競争はないに等しい。さらに運賃の安さというかつてのお株が取られた格好だ。

現在のスカイマークが目指すのは、航空大手とLCCの間にある「第三極」。かつてサービスの簡素化で運賃を低減することなどに注力したものの今や価格ではLCC、サービスでは航空大手が強みとしており、スカイマークは「中途半端」な存在になりかねない。

保有する機材数を1機種に絞り込み整備費用などを低減する一方、機材の稼働率を高めることに注力した。17年度の売上高は前の期比10%増の828億円、営業利益は同6%増の71億円となり、18年度までの3カ年の中期経営計画での業績目標を1年前倒しで達成。14年度に66.9%だった搭乗率も、17年度には84.4%まで改善した。

業績が改善する中で「遅れない航空会社」に存在感を見いだそうと、定時運航率と欠航率の向上を進めた。定時運航率とは定時より15分以上遅れず出発できたかを示す。例えばビジネス客では価格よりも遅れずに欠航せずに目的地へ到着できるかを重視する人が多い。ここに独自色を求め、幹部が集まり日々遅延の原因を分析し続けている。市江社長は「利益や売り上げよりも現場社員が実感できる目標。一連の空港業務がスムーズにできているかが問われるものだ」と社内を鼓舞した。

かつて定時運航率が80%という低い時期もあった。5便のうち1便は常に出発が遅れているということだ。17年度は定時運航率は93.06%、欠航率は0.59%となった。定時運航率は日本の航空会社12社中1位、欠航率も最も低くなった。

スカイマークが次に直面する経営課題が、2020年に再上場することだ。佐山会長は「主幹事の選定を始めた」と明かす。

再上場に向けた成長戦略の1つとして、サイパンやパラオへの国際線就航を検討している。かつては超大型機の購入契約が破綻の引き金となったが、サイパンなどは現在保有する機材で運航できる範囲なうえ、米デルタ航空が撤退したため日本からの直行便がない状態だ。佐山会長も「東アジアなどに比べ競争環境が良く魅力的な地域」と語る。

航空業界は景気や国際情勢、災害、疫病の流行など外部要因に影響を受けやすい。スカイマークが就航した20年も米同時多発テロや重症急性呼吸器症候群(SARS)、リーマン・ショック、東日本大震災など常にリスクと隣り合わせだった。スカイマークだけでなく日本航空なども経営破綻したことが困難さを物語る。

訪日外国人観光客の増加を追い風に追い上げるLCC。ピーチとバニラ・エアは19年度中に経営統合することを決めており、単純合算で17年度の売上高は876億円。スカイマークはANAHDと日本航空に次ぐ「国内勢3位」の座をLCCに奪われることになる。

国際線に成長を求めて失敗した過去と、再上場に向けて成長戦略を打ち出さないといけない現状にあるスカイマーク。操縦かんを握る現経営陣は再建の先に再び難しいかじ取りが突きつけられている。(志賀優一)

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