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広がる「圏内格差」、都市部でも明暗 投資マネーは選別色

2018年の基準地価は、各地の中核都市や観光地を抱える地域が訪日客の恩恵や緩和マネーの需要を受けて上昇した。一方、同じ都道府県内でも交通の利便性が低かったり高齢化が進んだりしている地域では下落が続く。投資マネーも選別色を強めており、「圏内格差」が広がっている。

東京圏(東京および神奈川、埼玉、千葉、茨城の一部)の住宅地は前年比1.0%プラスだった。上昇率が1%台に乗るのは08年(1.6%上昇)以来。東京23区内では以前から人気の中央区や港区だけでなく、交通の便が良く相対的に値ごろ感のある北区や墨田区など5%を超える地区が目立つなど、地価上昇が周辺部に広がりつつある。

一方、都内でも多摩市や青梅市の住宅地は下落した。高度成長期に人気を集めたニュータウンの住民の高齢化が進み、都心部へのアクセスの悪さも一因となっている。

圏内では、神奈川県茅ケ崎市の住宅地がマイナスになった。訪日客にも有名な同県鎌倉市や葉山町も住宅地は下落。高齢化と人口減が進む中、より都心に近い場所に需要が集中する。

関西でも、兵庫県は中心地の神戸市中央区が再開発の好影響を受け、商業地で全国8位の上昇率の地点もあったが、姫路市や朝来市は住宅地の下落率でトップ10に入った。新潟市も利便性の高さで住宅地が26年ぶりの上昇に転じたが、新潟県全体はマイナス圏だった。

格差の極端な例は北海道だ。スキーリゾート目当ての訪日客が訪れるニセコ地区では、東京・港区の高層マンションに匹敵する高級コンドミニアムが相次ぎ建設された。東急リゾート(東京・港)によると買い主は香港やシンガポールなどアジア系が6割を占める。

18年の基準地価で、商業地・住宅地ともに上昇率トップはニセコの恩恵を受ける北海道倶知安町。一方で下落率ランキングの上位に道内の美唄市や砂川市、夕張市などが入る。限られた滞在日数で訪日客の恩恵を受ける地域は限定される。

背景には、投資マネーが選別色を強めていることがある。特に外国人投資家は買い一辺倒というわけではなく、値上がり益がある程度確保できれば物件売却に動いている。

都市未来総合研究所の集計によると、18年1~6月は海外勢による売却額が約6600億円と、前年同期の2.4倍に急増した。購入額は約3900億円と、2割増にとどまった。

日銀による大規模緩和を背景に、高い利回りを求める個人の不動産投資向け融資の動向も焦点だ。全国の銀行による17年の不動産向けの新規融資額は前年比約5%減の約11兆7千億円。過去最高だった16年から一転、6年ぶりに前年を下回った。マイナス金利導入と前後して大幅に伸びてきた個人向けアパートローンの急減が主因。スルガ銀行の不正融資問題などを受け、さらに市場が収縮していく可能性がある。

今回の基準地価は7月1日時点のため、6月の大阪北部地震や7月の西日本豪雨の影響はほぼ含まれていない。台風21号、北海道地震など大規模災害が相次いでいる。不動産協会の菰田正信理事長(三井不動産社長)は「インバウンド需要に依存して地価が上昇した地点も多いが、台風の多さや猛暑などが影を落とし、伸びがいずれ鈍化する可能性もある」とみる。

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