JTBなど、ロボット遠隔操作し「仮想旅行」

2018/9/18 16:09
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JTBは18日、東京23区内にいながら小笠原諸島の海を見たりウミガメを触ったりできるサービスを報道陣に公開した。ロボットベンチャーのTelexistence(テレイグジスタンス、東京・港)やKDDIらと連携した。離れた場所にいるロボットの目や指を通じて、現地の様子を体験できる。近い将来、移動しない旅行が一般的になるかもしれない。

頭にVRゴーグル、指には触覚センサーをつけて遠隔旅行を体験した(18日、東京・港)

頭にVRゴーグル、指には触覚センサーをつけて遠隔旅行を体験した(18日、東京・港)

「こんにちは、小笠原遠隔旅行へようこそ。ガイドのみゆきです。小笠原に来たことはありますか」。あたり一面青い空と海が広がるなか、現地の旅行ガイドに声をかけられた。ガイドと握手をして、これから始まる旅に胸躍らせる――。これらは記者が、都内の竹芝客船ターミナル(東京・港)で体験した出来事だ。

記者はまず、手には指先に触覚センサーがついた専用のグローブをはめ、頭にVR(仮想現実)用のゴーグルをつけた。すぐに目の前に小笠原の美しい景色が広がった。観光ガイドと自己紹介をして握手をすると、ガイドの手のぬくもりを感じた。

なぜこのような体験ができるのか。実は小笠原諸島には高さ約155センチメートル、重さ約70キログラムのロボットが置かれている。記者はロボットの目や指、口や耳を通じて現地の様子を体験していたのだ。

ガイドに連れられて、小笠原諸島内にある海洋センターを見学した。海洋センターではウミガメが飼育されていた。

ウミガメに餌のキャベツを投げ与えた(18日、東京・港)

ウミガメに餌のキャベツを投げ与えた(18日、東京・港)

記者がロボットを通じてウミガメの甲羅に触ると、甲羅の堅さとぬめっとした感触が伝わってきた。ウミガメがジタバタ動くのに合わせて小刻みに振動も伝わってくる。ウミガメの水槽に、手に持ったキャベツを投げ入れて餌やりの体験もできた。初めて間近でウミガメと触れ合いわくわくする。ガイドに「今度は本当に小笠原に来てね」と言われて約10分間の体験会が終わった。

画面の揺れに少し酔いを感じたものの現地の人との触れ合いもあり、本当に小笠原諸島に行った気分になれた。体験会に訪れていた会社員の神谷知加子さん(42)も「小笠原諸島にずっと憧れていた。旅行気分を味わえてうれしい」と目を輝かせた。

遠く離れたロボットと感覚を共有する技術は、テレイグジスタンスが開発した。テレイグジスタンスにはJTBやKDDIも出資している。リアルタイムでの連携を可能にしたのはKDDIの高速通信技術だ。現在は第4世代通信(4G)を使っているが、今後は次世代通信規格「5G」を使うことを目指している。

小笠原諸島には長時間かけて船でしか行くことができず、観光客の取り込みが課題だった。開発にあたったJTBの池田伸之さんは「この技術を使えば時間と距離の制約がなくなり、新しい旅の形を作れる」と強調した。今回は抽選で当たった人向けに無料の体験会を開いているが、2019年度中に商用化することを目指している。

遠隔旅行体験には他社も参入している。ANAホールディングス(HD)は宇宙にいるロボットを遠隔操作するなどして、宇宙旅行を疑似体験できるサービスを開発している。ANAHD子会社のANAセールス(東京・中央)や近畿日本グループを傘下にもつKNT-CTホールディングスはVR機器を使った疑似旅行サービスを提供する。高齢化の進行で体が不自由でも旅に出たいという人は、今後も増えていくと予想される。教育旅行や企業の現地視察旅行などにも活用できそうだ。(長尾里穂)

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