2019年8月20日(火)

8県基準地価 訪日客追い風 福岡上昇

2018/9/18 16:50
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九州・沖縄の8県が18日発表した2018年の基準地価(7月1日時点)は、沖縄県や福岡県の商業地の上昇が鮮明になった。都市部の人口拡大を追い風に、インバウンド(訪日外国人)の増加も下支えしている。住宅地では熊本県が20年ぶりに下落から脱却するなど、全県で上昇幅が拡大するか、下落幅が縮小。都市部を中心に、九州域外からもマネーの流入が続いている。

福岡県の商業地で最高価格をつけた天神木村家ビル(福岡市中央区)

●福岡 都心の地価上昇 周辺地域に波及

福岡県の住宅地はプラス1.1%だった。2年連続の上昇で、上昇率は沖縄、東京に次いで全国3位だった。上昇市町村数は前年の20市町から24市町に拡大。大野城市の地価上昇率が全国8位に入ったほか、北九州市も20年ぶりのプラスに浮上した。都心部の地価上昇が周辺地域に波及する構図が鮮明になっている。

商業地はプラス3.1%と、3年連続で上昇した。前年の伸び率(プラス2.3%)を上回り、上昇のペースが一段と加速している。福岡市や大野城市は6年連続の上昇となり、筑後市も26年ぶりに上昇に転じた。

最も地価が高かったのが、福岡市天神の「天神木村家ビル」。前年から20.4%伸び、1平方メートルあたり620万円だった。福岡市の「天神ビッグバン」に伴う規制緩和や、再開発に対する期待感から地価の上昇が続いている。「近年は博多が注目されていたが、天神が盛り返す形になった」(不動産鑑定士の井上真輔氏)

●佐賀 佐賀市と鳥栖市、2年連続で上昇

佐賀県は住宅地が20年連続、商業地は25年連続で下落した。ただ、下落幅はともに6年連続で縮小している。佐賀市と鳥栖市は住宅地、商業地ともに平均変動率が2年連続で上昇し、回復の中心に。東高西低の傾向がさらに進んだ。

JR佐賀駅の北側にある大型商業施設(ゆめタウン佐賀)周辺は、総合運動公園の整備も控え、人気が急上昇。住宅地、商業地ともに上昇率が一番高かった。

目に付くのが2年連続で上昇した工業地(2.8%増)。鳥栖インターチェンジに近い鳥栖市と基山町が13~14%の上昇。吉野ケ里町や神埼市なども3~4%上昇した。不動産鑑定士の樋口隆弘氏は「企業はまず鳥栖で探すが、まとまった用地が不足しているので、周辺の基山のほか吉野ケ里町や神埼市にも波及している」。

●長崎 住宅地と商業地、マイナス幅縮小

長崎県は住宅地がマイナス1.2%で20年連続の前年割れとなった。減少幅は0.3ポイント縮小したものの、減少傾向は続いている。商業地はマイナス0.3%で、下落率は0.5ポイント縮小した。変動率では住宅地が前年比11地点増の51地点がプラストなり、商業地では7地点増の34地点がプラスとなった。

住宅地を地域別に見ると大村市や長与町、時津町など4市町でプラスとなった。長崎市は0.1%マイナスとなったものの、下落率は0.5ポイント縮小している。平たん地の希少性が高いことから、市街地中心部の高価格帯で上昇率が拡大。周辺地域においても回復の兆しがみられるという。

●大分 大分市住宅地2年連続上昇

大分県は住宅地が20年連続、商業地が27年連続の下落となった。下落率は前年比で住宅地、商業地とも0.3ポイント縮小。上昇地点は住宅地で48(前年は34)、商業地で19(同12)で、都市部とその周辺に目立っている。

住宅地は県全体で0.3%の下落。大分市が19年ぶりに上昇に転じた昨年に続き2年連続の0.9%アップ。別府市は昨年の0.2%下落から19年ぶりに0.2%の上昇となった。ただ、九重町は2.4%の下落、姫島村も2.1%の下落となっており、都市部と農村部の住宅地価格の差は拡大傾向にある。

商業地は県全体で0.5%の下落だった。JR駅周辺再開発がほぼ完成した大分市が上昇率が横ばいとなった一方、別府市は前年の横ばいから1.2%アップと26年ぶりに上昇に転じた。

不動産鑑定士の坂本圭氏は別府市について「外資系ホテルの建設など富裕層向けの宿泊施設の建設が進む一方、古い旅館を改装する動きもある。19年ラグビーW杯や20年東京五輪を控え、潜在的な外国人旅行客は増えそう。別府の地価が今後マイナスになる材料は今のところなさそう」と語る。

●熊本 中央区と東区、上昇幅大きく

熊本県の住宅地の平均変動率は0.0%と前年より0.4ポイント改善し、20年連続の下落から横ばいに転じた。熊本地震からの復旧・復興の進展とともに地価が回復している。熊本市の住宅地は5区全体で1.2%(前年は0.8%)と上昇幅が拡大した。中でも中央区と東区の上昇幅が大きい。

地震の被害が大きかった益城町は3.5%(前年は1.6%)、嘉島町は1.8%(同0.9%)と前年より上昇幅が拡大した。

交通インフラの復旧の遅れが響いている阿蘇市はマイナス0.2%(前年はマイナス0.5%)、南阿蘇村はマイナス0.6%(同マイナス1.3%)と下落幅が縮小している。宮本隆志・熊本県地価調査代表幹事は「住宅地の地価の改善傾向が続いている」とみている。

商業地は1.5%の上昇と前年より1.4ポイント改善し、2年連続の上昇になった。熊本市の5区全体が5.9%と大きく上昇し、県全体の平均変動率を押し上げた。復興需要で熊本県内が好況で、低金利政策や資金調達環境の良さと相まって受給が引き締まっている。

このほか、菊陽町0.8%、嘉島町1.4%、益城町3.1%がそれぞれ上昇した。県内の商業地の地価は改善方向で動いている。

●宮崎 商業地21年ぶり4地点でプラス

宮崎県の住宅地は19年連続、商業地は27年連続で下落したが、下落率はともに前年より縮小した。調査290地点のうち住宅地のプラス変動は23地点で、前年より4地点増えた。上昇傾向にある住宅地は前年と同様、市街地に近く利便性の高いことや、津波のリスクに備えて高台にあることなどが特徴。前年にプラス変動となった地点を中心にその周辺にも広がってきたという。

商業地は宮崎市中心部を中心に4地点でプラスとなり、プラス変動は1997年以来21年ぶり。不動産鑑定士の古清水賢一氏は「下げ止まり感に加え、低金利効果で土地取引が出てきた」とみている。一方、人口減や高齢化などの影響から郊外の都市は下落率の高い地点が目立つ。

●鹿児島 鹿児島市、商業地上昇続く

鹿児島県は住宅地が21年連続、商業地が27年連続のマイナスだった。下落幅は縮小傾向を続けており、上昇地点数も住宅地が前年比13増の22地点、商業地が同4増の14地点といずれも増加したが、このうち商業地は全て、住宅地は18地点が鹿児島市内で占められており、二極化の傾向が一段と強まっている。

鹿児島中央駅周辺や天文館エリアなどでの再開発の動きが具体化してきたことを受けて、鹿児島市では商業地が2年連続の上昇となり、上昇幅も拡大した。再開発時の店舗の移転需要や再開発エリアでの病院建設などを見越したアパート、マンション投資の動きも押し上げ要因という。

不動産鑑定士の大吉修郎氏は「郊外部では下落幅がそれほど縮まったとは感じられない。鹿児島市の中心部での上昇が県全体の下落幅を打ち消した格好だ」と指摘している。

●沖縄 住宅地上昇率全国1位

沖縄県の商業地は5年連続で上昇し、上昇率は前年より3.1ポイント拡大して7.3%となった。7%台になったのは1981年(7.9%)以来37年ぶり。72地点のうち66地点で上昇、下落は2地点のみ。県内景気の拡大が続き、中心市街地などで需要が高まっている。不動産鑑定士の高平光一氏は「マンションやホテル建設の動きが活発になり、県外の開発業者や地元企業による競合で地価が上昇している」と指摘する。

住宅地も5年連続で上昇。上昇率は前年比1.6ポイント高い4.0%で、3年連続で全国1位だった。188地点のうち上昇は141地点。けん引するのは16%余り上昇した地点もあった那覇市だが、価格が割安な周辺市町にも需要が広がり、北谷町は10.8%、宜野湾市は9.2%上がった。

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