/

人生100年時代 老後に笑うのは共働きの正社員夫婦

共働きをマネーハック(4)

写真はイメージ=123RF

今月のマネーハックは「共働き」について考えてきました。特に正社員として2人が働き続けることは大きな経済的価値を生み出します。

それは目の前の家計のやり繰りや学費の準備に余裕をもたらすだけではありません。共働きの本当の価値は「定年後」に実感できます。

共働き夫婦、現役時代は苦しくても続ける

共働き夫婦に安息の日々はありません。週末に子どもを遊ばせている両親も笑顔の奥でどこか疲れが見えます。親によっては砂場で遊ぶ子どもを近くのベンチでただぼーっと見ている人もいます。

毎月の家計もギリギリをやり繰りし、学費の捻出や住宅ローンの返済に苦労しながら「なんで共働きしているのだろう」と疑問に感じる瞬間もあるでしょう。夫婦げんかも少なからずあるはずです。

しかし、共働き正社員夫婦には、人生の最後に笑える瞬間がやって来ます。いや「瞬間」どころか「20~30年」も笑って過ごせることになるかもしれません。

厚生労働省がまとめている簡易生命表(2017年)によれば、今では女性の4人に1人が95歳まで存命する時代です。夫婦ともに100歳人生というのは決して夢物語ではありません。そのとき笑って過ごせるかどうかの分岐点の一つが「共働き」なのです。

ダブル退職金とダブル厚生年金の強み

公的年金制度がかつて主に想定していたのは「片働き夫婦」、つまり会社員の夫と専業主婦という夫婦でした。今でも年金受給で例示されるはモデルは片働き夫婦です。

これはつまり、「夫:基礎年金(国民年金)+厚生年金、妻:基礎年金」という老後モデルです。

しかし、共働き正社員夫婦は「夫:基礎年金+厚生年金、妻:基礎年金+厚生年金」という老後の収入を得ます。つまり、ダブルで厚生年金をもらうことになります。

加入状況によるものの、片働き夫婦と厚生年金をダブルでもらう夫婦を比べると、経済的な差は年100万円になる可能性もあります(ちなみに厚生年金額には、産休・育休期間は負担ゼロで保険料を払ったものと見なす仕組みもあり、有利になります)。

女性の平均的な老後期間は65歳から24.4年ありますから、老後に2440万円もの余裕をお隣の片働き夫婦と比べて持つ可能性があるわけです。

また、正社員として働いた人の最後の「高額収入」は退職金ですが、これもダブルでもらえることになります。

こちらは会社によって水準の違いが大きいうえ、産休・育休期間は退職金額に反映されないことが多いのですが、それでも夫婦の老後はまったく違ってくるはずです。

夫婦がダブル厚生年金(仮に2人で月30万円とする)、ダブル退職金(仮に2人で2000万円とする)をもらったとすれば、それだけで長いセカンドライフに「老後の資金1億円が準備済み」ともいえるわけです(月30万円を24.4年もらうと総額8784万円)

そう考えると、共働き正社員夫婦が共働きを続けることは、目の前の家計のやり繰りの問題だけではなく、人生を通じて有意義であることが分かるはずです。

iDeCoを加え、トリプル老後準備なら万全に

公的年金が将来、給付額をカットする可能性があっても、共働き正社員夫婦ならうろたえる必要はありません。消費税が今より引き上げられたり、健康保険や介護保険の自己負担が高くなったりしても、ダブル厚生年金夫婦が圧倒的な強みであることに変わりはないからです。

もちろん、今よりさらに老後の上乗せをしておけばもっと安心を確保できます。個人型確定拠出年金(iDeCo)や積み立て型の少額投資非課税制度(つみたてNISA)といった制度を夫婦がフル活用すれば老後の安心は確かといえるかもしれません。積立額は月数万円でもいいのです。

例えば、夫婦がそれぞれiDeCoに月1.2万円を、夫がつみたてNISAに年40万円を積み立てたとします。45歳からスタートしたとしても、年3.5%の運用利回りが得られれば、65歳時点では1900万円以上になります(iDeCoの掛け金の払込期間は現行は60歳までだが、法改正を予想して65歳までに延長されるものとして試算)。

これなら、ダブル厚生年金、ダブル退職金にダブルiDeCoが加わった「トリプル老後準備」となり、共働き夫婦の未来をかなり明るくしてくれることでしょう。

共働きのお金のルールづくりは時代に合った考え方が大切です。拙著「共働き夫婦 お金の教科書」でも、いろいろな工夫を紹介していますのでご参考にしてください。

夫婦が率直に話し合うことが大切

一番重要なキーワードは「老後に笑うのは共働き正社員夫婦」ということだと考えます。私は格差という言葉は好きではありませんが、「老後の格差」については埋めようがないことを多くの人がもっと知っておくべきです。

公的年金額が確定し、退職金などの大型収入をすべてもらい終わると、その「財産状況」で30年以上にもなり得る残りの人生、家計はほぼ確定してしまいます。老後の格差はなかなか挽回できません。

少しでも余裕のある老後を迎えるためには「夫婦が正社員で共働きを続けること」が何より大切です。そのためには、先週説明したように男性の協力は欠かせません。

また、夫婦が率直に話し合うことが大切です。苦労した30歳代から50歳代の思い出を、熟年離婚の結末にしてはいけません。コミュニケーションによってお互いの信頼感を深め、老後に笑って話し合えるエピソードにすればいいのです。

仕事に家事に育児に頑張った共働き正社員夫婦こそ、老後を笑って過ごせるのです。

マネーハックとは ハックは「術」の意味で、「マネー」と「ライフハック」を合わせた造語。ライフハックはIT(情報技術)スキルを使って仕事を効率よくこなすちょっとしたコツを指し、2004年に米国のテクニカルライターが考案した言葉とされる。マネーハックはライフハックの手法を、マネーの世界に応用して人生を豊かにしようというノウハウや知恵のこと。
山崎俊輔
 フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)『共働き夫婦 お金の教科書』(プレジデント社)など。http://financialwisdom.jp

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン