2018年12月19日(水)

基準地価27年ぶり上昇 商業地3年連続、訪日需要が拡大

2018/9/18 16:53
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国土交通省が18日発表した2018年7月1日時点の基準地価は、前年比で27年ぶりの上昇に転じた。訪日客需要を見込んだ店舗やホテルの建設が進み、各地方の中核都市がけん引役となって商業地が3年連続でプラス。住宅地は下落だが、低金利などを背景に改善が続く。バブル崩壊以降、地価はマイナス圏で推移してきたが、資産デフレの解消に向けて緩やかに前進している。

全国の林地を除いた宅地(全用途)は前年に比べて0.1%上昇。1991年以来のプラスとなった。

地価上昇の大きな要因は増え続けている訪日客だ。17年には過去最高の2869万人となり、全国各地で買い物や宿泊などの需要を生み出している。その恩恵を受ける店舗やホテルなどの立つ商業地は全体で1.1%の上昇。観光資源が豊富で、訪日客の人気が比較的高い地方中核4市(札幌、仙台、広島、福岡)は9.2%と大幅に伸びた。都道府県別では北海道と富山が上昇に転じ、上昇は19となった。

上昇率上位の地点をみると、スキー場で有名な北海道のニセコ地域や京都市内の観光名所周辺、交通の便が良いJR名古屋駅前など、訪日客が多く訪れる場所が名を連ねた。

地価が最も高かったのは東京・銀座2丁目の「明治屋銀座ビル」。1平方メートルあたり前年比7.7%上昇の4190万円。91年の3800万円を2年連続で超えた。

オフィス仲介大手の三鬼商事(東京・中央)がまとめた8月の東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)のオフィスビル空室率は2.45%で、リーマン・ショック前の07年11月の2.49%を下回る。企業が働き方改革の一環で職場環境の改善に投資する向きもあり「快適なオフィスへの移転やサテライト拠点開設などの実需が商業地の伸びに貢献している」(三井住友トラスト基礎研究所の北村邦夫研究理事)。世界的な金融緩和が続く中、利回りの高い投資先を求める外資マネーの動きも根強い。

住宅地は0.3%のマイナスで27年連続の下落となったが、下落幅は9年連続で縮小した。日銀がマイナス金利政策を続ける中で、駅の近くなど交通の利便性が高い地域を中心に上昇の地点は広がっている。上昇した都府県は前年の8から11に増えた。地方の中核都市では新潟市や高松市が下落からプラスに転じた。

上昇率は1~3位までニセコ地域が占めた。スキー場周辺の外国人向け別荘や、観光施設で働く従業員向け宿舎などの需要が強かった。4位以下には、17年の観光客数が米ハワイを抜いた沖縄県の地点が多く並んだ。

地価の上昇傾向が続いている現状について、国交省は「転売目的による上昇ではなく、実需に支えられたものだ」と分析する。ただ、住宅地で全国1万4634地点のうち、約55%が下落。都市部も地方も二極化の傾向が続いている。

地価の先行きには慎重な見方も出ている。20年の東京五輪と前後してピークアウトを懸念する声もある。19年10月に予定している消費税率10%への引き上げも、住宅購入の駆け込み需要の反動減をどう克服するかという課題を抱える。

訂正> 18日16時53分に配信した2018年の基準地価の記事中、誤って公示地価の変動率の表を一時掲載しました。(2018/9/18 18:08)

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