2019年2月16日(土)

米、ウイグル族拘束で対中制裁検討 米中関係に新たな火種

2018/9/16 20:30
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【ワシントン=永沢毅】トランプ米政権は中国の新疆ウイグル自治区で少数民族のウイグル族が中国当局によって不当に拘束されているとして、中国政府の当局者らに経済制裁を科す検討に入った。中国にとって人権問題は最も敏感なテーマの一つ。米国が人権問題で制裁に踏み切れば、泥沼化する貿易戦争に続いて米中関係の新たな火種になりそうだ。

シン米国務次官補は13日の米議会公聴会で、中国政府当局者や企業への制裁に関して「状況を見極めている」と述べ、制裁を検討していることを明らかにした。制裁が実施されれば、トランプ政権が人権問題で中国に制裁に踏み切る初のケースになる。

米議会の超党派の議員は8月末、弾圧を主導しているとみられる複数の中国政府当局者に制裁を発動するよう求める書簡をポンペオ国務長官、ムニューシン財務長官に送っていた。この案件での制裁を巡ってはホワイトハウスと国務省、財務省でかねて議論が進んでいたという。

米メディアによると、中国共産党で新疆ウイグル自治区を担当する幹部を含む7人が弾圧に関わっているとして制裁対象に検討されているもよう。収容施設や監視システムに関わっている中国企業も対象になっているとされる。共和党のマルコ・ルビオ上院議員らは12日、ロス商務長官に中国企業による監視システムの購入を制限するよう求める書簡を送付した。

この問題を巡っては、国連人種差別撤廃委員会で8月、米人権活動家らが「中国のウイグル族ら100万人以上が新疆ウイグル自治区の再教育施設に強制収容されている」と報告。委員会が中国への審査報告書で直ちに解放するよう勧告した経緯がある。

この施設では、ウイグル族が政治思想教育などを強いられている疑いがあるという。バチェレ国連人権高等弁務官は調査を許可するように求めているが、中国側は「完全な虚偽」と疑惑を否定しており、応じる構えをみせていない。ただ、国務省のナウアート報道官は11日の記者会見で「多くの人たちが拘束されているという信頼できる報告書がある」と指摘した。

2009年に新疆ウイグル自治区のウルムチで起きたウイグル族の争乱後、中国当局による弾圧は激しさを増したとされる。ただ、トランプ大統領は中国の人権問題について声高に批判することは避け、米国内ではトランプ氏の対応に批判的な見方も多かった。

ここにきて取り上げる構えをみせるのは、激しさを増す貿易戦争の打開に向けた交渉で、トランプ氏が優位に立つカードとして使う思惑も見え隠れする。トランプ政権は中国からの輸入品2千億ドル(約22兆円)分に課す第3弾の制裁関税の発動に向けた調整を進めており、近く最終判断する見通し。実際に発動するかどうかは通商摩擦の動向とも絡む展開となる。

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