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「勇退」決断 広島・新井のチームへの思い
編集委員 篠山正幸

(2/2ページ)
2018/9/18 6:30
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丸佳浩が太腿を痛め、4月終わりから1カ月近く離脱したときに、野間峻祥が外野の一角を埋め、そのままレギュラーに定着した。「新しい力が出てきた」と実感したという。こうした新陳代謝が広島の強さを支えていることを知る新井は「(自分が去ることで)若い選手はチャンスと思ってほしい。そこで競争が生まれ、カープの強さにつながる」と言った。

野間以外にも他チームなら常時出られそうな選手が、出番を待っている。次代を担う選手のためにも椅子を一つ空けよう、ということのようだった。

頑健さを誇った肉体だが、今季はふくらはぎのけがで出遅れた。それも理由の一つだったかもしれない。

言うまでもなく、ユニホームを脱ぐということは選手生活最大の決断だ。

歴代の大打者のほとんどが、技術を極められないまま終わったというコメントを、引退に際して残している。「新井さんは?」と尋ねるとやはり同じ答えだった。「バッティングにはこれでいいというものはないと思うし、この年齢になってもまだ新しいものがあるんじゃないかと思ってやっている」

11日のDeNA戦では代打で適時打を放った=共同

11日のDeNA戦では代打で適時打を放った=共同

1日でも長くプレーし、新しい技術を求めたい――。引退するということは、そんな選手としての本能を断ち切ることにほかならない。

そうしたことも考え合わせると、新井は気を使いすぎという気もしないではないが、球団やファンへの恩義からして、本人としては当然の結論だったのかもしれない。

15年開幕戦「忘れられない」

新井は2015年、地元でのヤクルトとの開幕戦のことを「忘れられない」と語った。七回代打で登場すると球場はお帰りなさい、という歓迎ムード一色に。

「そこまで応援してくれるとは思わなかった」

地元広島生まれで、広島工高まですごした生粋の地元選手。08年にフリーエージェント(FA)で阪神に移籍する際は、当然の権利を行使しただけだったのにもかかわらず、涙を流した。

02年オフ、松井秀喜さんが巨人からメジャーに移籍するときに「たとえ裏切り者といわれても」という言葉を残している。その言葉こそ新井は使わなかったが、育ててもらった広島を出るにあたっては、外からは推し量ることができない心苦しさがあったのかもしれない。

阪神でなかなか活躍できなかった自分に、復帰の道を用意してくれた広島と、思いもよらないほど温かく迎えてくれたファン。その感謝の気持ちにもまた、想像できないほどのものがあっただろう。

復帰以来の新井はチームの力になれなければ、すぐユニホームを脱ぐという決意で、一年一年を過ごしてきたという。くれぐれもチームの足を引っ張ってはならない――。そんな気持ちがチームへの気遣いと、自分への厳しさとなり、惜しまれる決断へとつながったようだ。

3連覇を置き土産に、鮮やかな勇退劇を飾ろうという新井。まだ戦いは残されているが、指導者として帰ってきたときに、チームへの思いがどんな形で出てくるか。ちょっと先走り気味の興味もわく。

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