不手際目立つ行政対応 豚コレラ、拡大懸念も

2018/9/15 20:06
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岐阜市の養豚場で国内26年ぶりの豚コレラウイルス感染が確認されて16日で1週間。岐阜県は既に養豚場内の全頭を殺処分し、農林水産省は防疫作業の「完了」を宣言した。しかし、市内で発見された野生イノシシの死骸からも同タイプのウイルスを検出、さらに広がる懸念も。一方、養豚場での8月の異変を県が見逃すなど行政側の対応には不手際が目立つ。

県が豚コレラ発生を公表したのは今月9日。3日に死んだ1頭などからウイルスが検出され、国の精密検査で確定したことを受け明らかにした。県は死んだ豚以外の全546頭を10日までに殺処分した。関係施設の消毒なども行い、農水省が防疫作業完了を発表した11日、古田肇知事は「昨年1月の鳥インフルエンザの教訓が生き早めに終えられた」と胸を張った。

しかし、養豚場では8月23日までに、弱ったり死んだりする豚が相次いでいた。県は24日に立ち入り検査をしたが、感染症を疑いながら熱射病と診断した。今月7日の簡易検査で、この際に採取した血液から陽性反応が出た。

一方、3日に死んだ1頭からも、同日の解剖で豚コレラに似た所見があった。しかし、これを受けた立ち入りは8日未明。3~7日に約80頭が死んだことを把握できていなかった。県は「簡易検査では陰性で、詳しい検査を進めるのが優先と判断した」と話す。

この間、養豚場は5日まで出荷を続け、死骸の混じったふんの堆肥場への搬入も7日まで行った。県は化製場法などに触れる可能性があるとみて行政処分も視野に検討を進めるが、地元養豚関係者からは「立ち入り検査も問題の公表も遅すぎた」との声が上がる。

国内の豚コレラ発生は1992年以来。今回のウイルスを解析した農業・食品産業技術総合研究機構は海外から侵入した可能性が高いと発表した。養豚場から約7キロ先で13日に見つかったイノシシも含め、農水省や県などで構成する調査チームが感染経路を調べるが特定は難しそうだ。

高井伸二北里大教授(獣医衛生学)は「猛暑だったし熱射病との診断に疑義を呈するのは難しかっただろう」と一定の理解は示すが「解剖で所見が出ていたのなら、陰性でも国に検査を依頼するなどできることはあったのではないか」と指摘。「イノシシは群れで行動し餌を求め農場に侵入することもある。感染拡大の恐れが高まった最悪の状況だ。防護柵を作るなど警戒度を上げる必要がある」と呼び掛けた。〔共同〕

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