2018年9月19日(水)

新興国投信残高、今年8000億円減少
通貨安で運用成績悪化

2018/9/15 2:00
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 新興国不安の影響が日本の個人投資家にも広がっている。世界の新興国の株式や債券で運用する投資信託の残高はトルコショック後の8月末に計約5兆9800億円と、昨年末から8000億円減少した。2013年のピークからは半減近い水準だ。表面的に高い新興国の金利水準が個人マネーを引き付けてきたが、新興国通貨安を受けファンドの運用成績が悪化している。

 アジアや中南米、アフリカなど20以上の新興国・地域の株や債券で運用する約720本のファンドの状況を三菱アセット・ブレインズがまとめた。うち残高ベースで半分を占めるのが、「BRICS」と総称されるブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国に投資する投信だ。

 新興国は相対的に人口が多く、先進国に比べ経済成長ののりしろが大きい。高いリターンが期待できるとして、国内の低金利に苦しむ日本の個人投資家からの人気が高かった。

 だが、表面的に高い金利水準はインフレと背中合わせ。外資に依存した経常赤字の国も多く、外貨の流入が細ると通貨安に陥りやすい。為替差損が発生して金利収入を吹き飛ばしてしまうリスクのある金融商品だ。米連邦準備理事会(FRB)が利上げを進める中、新興国から先進国への資金の逆流が進み運用環境が悪化している。

 BRICS投信の中で、最も大きく残高を減らしているのはブラジル関連の投信だ。合計の純資産残高はピークの10年に約2.7兆円あったが、足元は4300億円。減少した2.3兆円を分析すると、約1.2兆円が資金流出によるもので、残りが分配金の支払いも反映した基準価格下落による影響だ。

 ブラジルでは大統領選を巡る混乱も加わり、通貨レアルの下落が止まっていない。代表的なブラジル債投信のひとつ、大和証券投資信託委託の「ブラジル・ボンド・オープン」の基準価格は昨年末比で21%下落した。

 その次に規模縮小が目立つ投資先は中国だ。北京五輪の前年、07年につけたピークの残高は1.7兆円。それが今は4000億円と4分の1に縮小した。当時、6000を超えた上海総合指数は現在、2700割れとなっており、株式投信の人気が離散している。

 BRICS以外では、「震源地」トルコ投信から資金が流出している。

 8月末の残高は約2000億円と今年に入って半減。高分配をうたった商品が多く、分配金として支払われた額も大きいが、14年のピーク時の残高は1兆円。トルコリラ安で損失を抱えたまま売却を余儀なくされた投資家も少なくなさそうだ。

 13年には合わせて10兆円超の日本の個人マネーが新興国に流れ込んでいた。当時は成長が鈍化した先進国に比べ、新興国への成長期待が高く通貨も長期的に上昇するとの見方が多かった。日本でもアベノミクスが始まったばかり。日本株に資金を振り向ける動きは限定的で新興国は人気の投資先だったが、最近は流れが逆転している。

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