2018年11月13日(火)

連続災害、停電復旧支援に課題 人員や機材が分散

環境エネ・素材
関西
北海道・東北
2018/9/15 0:04
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関西などを中心に観測史上最大の瞬間風速を更新した台風21号と、北海道で震度7を観測した地震は、10日ほどの間に約600万戸の停電を引き起こした。北海道の節電要請は緩和されたが、需給はなお綱渡り。関西電力管内では14日になって、ようやく停電がほぼ解消した。大規模な災害が相次いだ結果、電力会社間の協力も人員や機材が分散するなど、課題が浮き彫りになった。

北海道電力の真弓明彦社長は14日の記者会見の冒頭、「道内のすべての発電所が緊急停止して停電となり、大変なご不便とご迷惑をお掛けしたことを深くおわび申し上げる」と頭を下げた。14日は電気事業連合会の勝野哲会長(中部電力社長)も東京での記者会見で、電力業界を代表して一連の停電を謝罪した。

短期間に600万戸という停電は、国内では900万戸が停電した2011年の東日本大震災以来だ。4日の台風21号では関電で225万戸、中部電で84万戸が停電し、6日の北海道での地震では地域全域が停電する「ブラックアウト」で295万戸に影響した。

電力各社や電事連は東日本大震災の経験から、病院などの重要拠点の電力をまかなう発電機車を備えるなど、対策をとってきた。16年の熊本地震では、発生直後に域外の電力会社が100台を超える発電機車を派遣。5日間という短期間での復旧につながったとされる。災害時に電力大手が協力する仕組みも培った。

今回も台風による関電の停電では、電力5社が発電機車を40台、のべ約500人の作業員を派遣した。全域停電した北海道には、関電以外の残る8社すべてが応援に入った。発電機車は154台、作業員は1200人を超える規模だった。

ただその支援も全てが円滑だったわけではない。北海道に支援を送ったある電力大手の幹部は「応援には行っているが待機が多いようだった」と明かす。作業の割り振りがうまくいっていなかった可能性がある。

停電した旭川空港のターミナルで、利用者らが懐中電灯の明かりを頼りに手荷物を確認(6日)=共同

停電した旭川空港のターミナルで、利用者らが懐中電灯の明かりを頼りに手荷物を確認(6日)=共同

「もっと出せないのか」。北海道への支援を巡り、ある電力大手は経済産業省にこう問われたが「もう限界です」と回答した。万が一に備え、自社管内に一定の発電機車を残す必要もあった。中部電力の場合は自社管内に停電を抱え、「北海道への支援は抑えざるを得なかった」(中部電力関係者)。

支援のスピード感にも課題を残した。14日の記者会見で電事連の勝野会長は「(支援の)要請が来る前に応援できるような組織が電事連にあってもいいのではないか」と指摘。これまでは各社の応援要請に基づいていた派遣を、より迅速に現地に向かう体制にしていく考えを示した。

地域ごとに発電・送配電・小売りを独占してきた旧来の電力会社の壁をいかに崩すのかも、2つの災害を通じて改めて浮かんだ課題だ。広域的に管理しやすいよう連携や統合が進めば、北海道のような全域停電を回避する電力融通や、危機回避のためのシステム投資なども効果的にできる。

また、東日本大震災以後、国内大手の視線は原発に向きがちだ。北電は停止中の泊原子力発電所の再稼働を目指すが、国の安全審査の合格は見通せない。15年に着工した新設のガス火力発電所は19年の稼働。他電力からは「泊原発があるから、火力の建設決定は遅れたのかもしれない」との見方も出る。関電や九州電力は1兆円ほどの安全投資で再稼働を急いだ。

北電での停電原因の検証をもとに各社が対策をとるだけでなく、予期しない災害が連続して起こることにどう備えるのか。今回の台風と地震は、改めて警鐘を鳴らしたと言えそうだ。

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