2019年6月24日(月)

進化するマネーボール

フォローする

大谷の二刀流、「勝利への貢献」で価値を測ると…
野球データアナリスト 岡田友輔

(1/3ページ)
2018/9/16 6:30
保存
共有
印刷
その他

前回までは、統計に基づく「セイバーメトリクス」が守備、打撃、投球、走塁をどのように評価するかをみてきた。今回はその一つの到達点として「貢献の勝利換算」という考え方を紹介したい。(今季成績は9月12日現在)

「WAR(Wins above Replacement)」と呼ばれるのがその指標だ。「勝利への貢献」という尺度を使うことにより、従来の指標では比較が難しかった選手同士でもフェアな評価が可能になる。三冠王と20勝投手をはかりにかけることもできれば、投打の「二刀流」の貢献度を知ることもできる。

基になる「ピタゴラス勝率」

基になるのはセイバーメトリクスの創始者ビル・ジェームズ氏が提唱した「ピタゴラス勝率」という考え方だ。彼は膨大なデータを検証し、様々なスポーツにおいて、チームの勝率と得失点の間に一定の関係が成り立つことを突き止めた。数式にすると「勝率=得点のn乗÷(得点のn乗+失点のn乗)」となる。nの値はスポーツやリーグによって異なるが、プロの野球では2前後。バスケットボールだと13前後、アメリカンフットボールだと7前後になる。

実際、チームの勝率の9割はこのピタゴラス勝率によって説明がつく。となれば勝率を上げる方法は2つしかない。得点を増やすか、失点を減らすかである。得点を生むのは打撃と走塁であり、失点を減らすのは投球と守備の範疇(はんちゅう)だ。

2017年、12球団で最高のWARを記録したのは広島・丸だった=共同

2017年、12球団で最高のWARを記録したのは広島・丸だった=共同

これまでみてきた通り、セイバーの考え方を使えば、打撃や走塁で生み出した得点や、投球や守備で防いだ失点を計算できる。これらを足せば、個々の選手が走攻守すべてでもたらした「得点価値」を算出できる。得られた値を「平均」と比較すれば、その選手がもたらした付加価値を測れる。これを1勝分に当たる得点価値(シーズンによって変動するが毎年9~10)で割れば、その選手が何勝分の貢献をしたかがわかる。プロ野球ではシーズンによって得点が入りやすかったり、入りにくかったりするが、貢献度を勝利数に換算することで、異なるシーズンでも比較ができるようになる。

ここで注意したいのが「平均」の概念だ。こうした評価手法が登場した当初はリーグ平均との比較で選手を評価していた。ただそれだと、次のような問題が生じる。たとえばレギュラーとして年間600打席立ったAという野手がいたとしよう。彼のプレーの得点価値がリーグ平均並みだった場合、Aには価値がないということになってしまう。しかしそれは違和感がある。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 次へ
保存
共有
印刷
その他

プロ野球コラム

電子版トップスポーツトップ

進化するマネーボール 一覧

フォローする
ヤクルトの村上宗隆らに新たな時代の長距離砲としての期待がかかる=共同共同

 5月1日、令和の時代が始まった。平成の30年で野球はどう変化したか。この機会に考えてみたい。
 野茂英雄が海を渡ったのは1995年(平成7年)。以来、多くの日本人大リーガーが誕生し、2006年(平成1 …続き (5/19)

シフトはオリックス・吉田正のような引っ張りが多い左打者に最も効果を発揮する=共同共同

 内野手3人が一、二塁間を守り、三遊間には一人だけ――。打者に応じて野手が極端に移動する守備シフトが日本でも見られるようになってきた。この戦術、定位置なら抜かれていた当たりをアウトにできる半面、正面だ …続き (4/21)

13日、ヤクルトとのオープン戦で右前打を放つロッテ・藤原。ZOZOマリンにはラッキーゾーンを思わせる「ホームランラグーン」が設置され、本塁打が出やすくなった=共同共同

 ロッテの本拠地ZOZOマリンスタジアムにラッキーゾーンを思わせる「ホームランラグーン」が設置され、外野フェンスが最大4メートル近くなった。本塁打が出やすくなり、劇的な逆転も増えると期待される。 …続き (3/17)

ハイライト・スポーツ

[PR]