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大谷の二刀流、「勝利への貢献」で価値を測ると…
野球データアナリスト 岡田友輔

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2018/9/16 6:30
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そこで出てきたのが「控えレベルに比べた貢献度」という考え方だ。Aが故障などで欠場したケースを考えてみよう。その穴を埋めるのは控え選手のBだ。一般的に控えのレベルはレギュラークラスよりも低い。いいかえれば、Aは試合に出場する(Bを試合に出さない)だけで一定の価値を生み出している。これは投手も同様だ。主戦投手がローテーションを守り、1軍半のレベルの投手を登板させなければ、彼らはそれだけでチームに貢献している。

控えレベルとの差で測る

こうして現在のセイバーでは、控えレベルとの差によって選手の価値を測るようになった。控えレベルをどのように定義するかに一律のルールはないが、DELTAでは過去のデータに基づき、打席での得点獲得能力をリーグ平均の9割弱としている。投手の理論上の失点率(tRA)ならリーグ平均の1.3~1.4倍だ。それぞれの投手の失点率をこの値と比較する。

野手では守備位置による調整も加える。同じ野手でもポジションによって守備の負担は大きく変わる。捕手や遊撃手、二塁手は高いスキルが求められるうえに人材も限られるが、左翼手や一塁手は比較的負担が少なく、指名打者は守りさえしない。そこで多少強引ながら、守ったポジションの難易度と出場機会に応じて得点価値を加減し、補正を試みる。

具体的にみてみよう。2017年、12球団で最高のWARを記録したのはセ・リーグの最優秀選手(MVP)に輝いた丸佳浩(広島)だった。打率3割8厘、23本塁打、92打点、13盗塁の成績を残した丸は打撃で43.9点、走塁で7.7点の付加価値を生み出し、守備でも17.1点を防いだ。さらに全143試合に出場し、控え選手を出さなかった上積みが15.7点。守りによる負担が平均の中堅手なので、ポジションによる調整はほとんど必要ない。これらをひっくるめると丸の存在がもたらした付加価値は83.8点。勝利数に換算したWARは8.9だった。投手では185回2/3を投げ、15勝7敗、防御率2.57の好成績を残した則本昂大(楽天)が7.4でトップだった。

大詰めを迎えている今季はどうだろうか。野手では柳田悠岐(ソフトバンク)が8を超え、山田哲人(ヤクルト)が続く。センターラインを守り、走攻守で貢献できる万能型は貢献度が大きくなる。対照的に筒香嘉智(DeNA)やウラディミール・バレンティン(ヤクルト)といった強打者たちは打撃では貢献しながら、走塁では上積みできず、守備は足かせになっている。また、打撃でのマイナスを走塁や守備で補ってあまりある源田壮亮(西武)のような選手もいる。

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