2019年5月26日(日)

トルコ中銀、利上げ判断 通貨下落歯止め焦点に

2018/9/13 17:11
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【イスタンブール=佐野彰洋】トルコ中央銀行は13日、金融政策決定会合を開き、通貨リラの急落や物価高騰を受けて、政策金利を引き上げるかどうかを判断する。金融引き締めを嫌うエルドアン大統領からの圧力が続く中、金融市場は3~4%程度の利上げを予想している。通貨安に歯止めを掛けることができるかが焦点だ。

中銀は7月の前回会合で市場予想の大勢に反し、主要な政策金利である1週間物レポ金利を年17.75%で据え置いていた。8月にはトルコ在住の米国人牧師拘束問題を原因にリラが急落する「トルコショック」が発生し、新興国を中心に世界の金融市場を揺さぶった。

信用不安が再燃したアルゼンチンの中銀は8月末の追加利上げで政策金利が年60%に達した。トルコやアルゼンチンだけでなく、ブラジルやインドの通貨も過去最安値圏に沈んだ。

トルコ中銀は市中銀行への資金供給を中心となる1週間物レポ金利よりも割高な翌日物貸出金利(19.25%)に切り替え済みだ。

しかし、リラ安の進行で8月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年同月比17.9%に達し、9月以降の20%超えが確実とみられている。中銀は3日の声明で「物価安定への重大なリスク」に言及、「必要な措置を講じる」と利上げを示唆していた。

年初から4割下落したリラの対ドル相場は、13日朝、決定会合を控え1ドル=6.3リラ台と9月に入ってから最もリラ高の水準で推移した。市場は利上げを織り込み済みだが、正午すぎにエルドアン氏の「(高)金利がインフレの原因」との発言が伝わると、リラは1ドル=6.5リラ台に下落した。小幅な利上げにとどまれば、中銀への信認が一段と低下し、資金流出を招く恐れがある。

リラ売りを抑え込もうと政府が小手先の対策を繰り返していることも実体経済の重荷となっている。8月、銀行監督当局は国内銀行が外国投資家と行う為替スワップの取引量を、規制上の自己資本の25%までに制限した。

投機筋によるリラ売りを封じる狙いだったが、相場変動のリスクをヘッジしたい企業や銀行の取引まで制限する副作用が発生。「3カ月先のリラ相場や金利水準が算出できず、銀行同士で資金の貸し借りができない」(外銀関係者)

その結果起きたのが、市中金利の高騰だ。中銀によると、8月末時点での企業向け貸出金利は加重平均で年32%。3カ月で13%近く上昇した。

エルドアン氏は13日公表の大統領令で、不動産取引や賃貸契約をリラ建てとするよう定めた。既存契約も30日以内の改定が必要となる。リラ相場の下支えと同時に外貨建て契約が一般的な小売りチェーン救済が狙いとみられるが、商慣行の突然の変更で混乱が生じそうだ。

自動車リースや電力、小売りなど「借り入れは外貨、収入はリラ」という内需型企業を中心に破綻や社債償還の不履行が相次ぎ表面化している。資金繰りの悪化や資材コストの上昇で、建設工事の中断や遅延も目立つ。

10日発表の4~6月期の実質成長率は前年同期比5.2%増と1~3月期に比べ約2ポイント減速した。消費や投資の落ち込みで2019年にはマイナス成長に転じる可能性が指摘されている。

不良債権の増加は金融システムの健全性を損ないかねない。米JPモルガンによると、トルコの民間部門は19年6月までの1年間で1464億ドル(約16兆円)の対外債務を返済する必要がある。このうち55%を銀行などの金融部門が負う。協調融資や社債の借り換えが順調に進むか、市場は注視している。

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