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埼玉大、植物が「身を守る」仕組み解明

植物は1枚の葉が害虫に食べられると他の葉で虫の嫌がる化合物を作ることが知られていたが、その詳細な仕組みを埼玉大学の豊田正嗣准教授らが突き止めた。動物の脳の神経伝達物質であるグルタミン酸が植物でも全身に情報を伝える重要な役割を担い、虫が避ける化合物を葉で作っていた。植物の防御機構を強くする化合物を作れば、殺虫剤なしで害虫から農作物を守る手法の開発につながるとみている。

成果は米科学誌サイエンス(電子版)に14日、掲載された。

植物は葉を虫に食べられると「ジャスモン酸」という植物ホルモンを合成し、他の葉が食べられないように苦みのある物質や虫の嫌がるガスを作る。離れた葉でも数分以内にジャスモン酸が作られるが、神経を持たない植物がどのように食べられたことを伝達するかは分かっていなかった。

研究チームはカルシウムイオンがくっつくと蛍光を発するたんぱく質を使った。このたんぱく質をシロイヌナズナで作り、葉を切断して全身を調べてみると、強い蛍光が1秒間に約1ミリメートルの速さで植物全体に広がった。カルシウムイオンの信号が伝わった葉ではジャスモン酸が作られた。

植物の特定組織の細胞だけ光らせると、水や栄養を全身に運ぶ「葉脈」という部分の細胞を伝わることが分かった。

次に動物の神経伝達物質であるグルタミン酸に着目した。植物にもグルタミン酸の受容体は20種類あるが、働きは分かっていない。植物が傷ついた部分では、グルタミン酸の濃度がすぐに高くなった。傷ついていない葉にグルタミン酸を投与すると、カルシウムイオンが植物全体に広がった。葉脈にある2種類の受容体を働かなくすると、カルシウムイオンの濃度が変化しなくなった。

植物が損傷するとグルタミン酸が細胞から出る。これを葉脈の受容体が感じるとカルシウムイオンの濃度が変化し、信号として植物全体に伝わり、敵から身を守る化合物を作るとみられる。

グルタミン酸の働きなどで自分の身を守る現象はタバコやイネでも確認できた。グルタミン酸の受容体の働きを活性化する化合物を作れば、植物の害虫への抵抗性を上げて被害を防げる可能性があるとみている。

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