2018年9月19日(水)

「普天間解決で未来像を」沖縄知事選告示、知事経験者2人に聞く
沖縄の選択2018

沖縄県知事選
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2018/9/13 7:01
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 翁長雄志知事の死去に伴う沖縄県知事選は13日、告示の日を迎えた。有権者は新たな沖縄のリーダーに誰を選ぶのか。知事経験者の仲井真弘多、稲嶺恵一両氏に、基地問題をはじめとした県が抱える課題や、知事を務める上での心構えなどを聞いた。(聞き手は那覇支局 酒井恒平)

■仲井真弘多氏「アジアの成長力取り込め」

仲井真弘多・元沖縄県知事(12日、那覇市)

仲井真弘多・元沖縄県知事(12日、那覇市)

 ――米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)返還の前提となる、名護市辺野古移設が選挙戦の争点になっています。

 「早く普天間問題を解決し、この空間を沖縄の発展のために使うべきだ。普天間は沖縄でも立地の良いところに横たわっている。基地の整理縮小を一つずつ解決しないと沖縄の展望は開けない」

 「跡地利用は普天間だけではない。牧港補給地区(浦添市)の返還や、米軍那覇港湾施設(那覇市)の浦添移転もある。まず普天間は解決済みにして、政府とよく話し、着実に基地を減らすようにしなければいけない」

 ――政府との対話だけでうまくいきますか。

 「政府は難しい問題になると『沖縄がうるさい』といって、沖縄側のせいにするところがあるが、政府が責任をもってやるべきだ」

 ――沖縄県知事は基地問題に相当な力を費やします。

 「そうでもない。僕に言わせればやることはいくらでもある。経済面でいえばこの4年間、稲嶺恵一知事や私が勢いづけた成長曲線を続けられなかった。次の人には丁寧に経済をやってほしい」

 ――沖縄経済にはどういう戦略が必要ですか。

 「沖縄の地理的な立地を生かすべきだ。アジアの成長力を取り込める。沖縄の製造業は食品加工が大部分だ。大きくなるには原料調達が必要だが、環太平洋経済連携協定(TPP)でやりやすくなる。こうした環境を生かすべきだ」

 「沖縄の企業は小さい。アジアのダイナミズムにはね飛ばされないようにしなければいけない。競争力を高めるため、企業間の合併を促す税制優遇があってもいい」

 ――亡くなった翁長雄志氏は元自民党で仲井真氏との関係も古いですが、最後に交わした言葉は。

 「どこかのパーティーで『よう』と言ったくらいだね。僕が2013年に辺野古の埋め立て承認をした段階で、こんなにも考えが最後違うなんて夢にも思わなかった」

 仲井真 弘多氏(なかいま・ひろかず)通商産業省(現経済産業省)の官僚、沖縄電力社長を経て、2006年から知事を2期8年務めた。79歳。

■稲嶺恵一氏「沖縄が一本になる必要」

稲嶺恵一・元沖縄県知事(10日、沖縄県浦添市)

稲嶺恵一・元沖縄県知事(10日、沖縄県浦添市)

 ――普天間基地の名護市辺野古移設などを巡り知事選は熱が帯びています。

 「マスコミが騒げば騒ぐほど私は悲しくなる。知事時代から『沖縄の要求を実現するには国民の6割以上のコンセンサスがないといけない。沖縄が一本にならない限り、それはあり得ない』と常に思ってきた。ここまでこじれさせたのは私の責任も大きい。誰も責めているわけではないが、責められている気がする」

 「私が怠けていたわけではない。8年間で夜の2次会に行ったのは2回だけ。そのうち1回は初代沖縄開発庁長官の山中貞則氏の会合だ。友人づきあい、親戚づきあいは一切放棄した。夜は宿舎で心身ともに疲労回復にあてた。それだけ知事職に専念した」

 ――沖縄県民が一本化できない背景には何がありますか。

 「糸がこじれ、絡まってしまっている。はっきり言うと最善策はない。ただ(後任の)仲井真弘多知事時代、首相が1年に一度のペースで変わった。政権政党もかわり中央政府に翻弄された。政府の言うことが変わればそれにあわせようとする。これが一番、問題を複雑にした要因だ」

 ――今回の知事選は新人の争いになりそうです。経験者として沖縄県知事にとって必要な覚悟とは。

 「過去の沖縄県知事で悩まなかった人はいない。想像を超える難しさがある。米軍統治下に基地がつくられた現実は変えられない」

 「現在で言えば、中国や北朝鮮の問題などで国際情勢は変わってきている。政府は国防上、重要なものを求めてくる。沖縄知事は地域代表として『十分な配慮』を要求せざるをえない」

 ――本土の沖縄への視線はどう感じますか。

 「かつては自民党の野中広務氏や山中氏ら戦争を経験した政治家がいた。いまは沖縄を感覚として捉えられる人がいない。安倍晋三首相も含め、みんな理性的に見ようとする。こうしたなかで沖縄の要求をどうしていくか。強く言うのではなく、どう実現するかが知事として問われてくる」

 ――翁長県政は要求を実現させるという点でどう振り返りますか。

 「夢と理想を持っていたが実現できない大きな壁にぶつかった。彼とは付き合いが古いだけに私は自分を責めた。沖縄の知事の苦闘はこれからも続くだろう」

 稲嶺 恵一氏(いなみね・けいいち) りゅうせき社長、県経営者協会会長を経て1998年から知事を2期8年務めた。現在はりゅうせき参与。84歳。

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