2018年11月17日(土)

「EU外交の全会一致原則見直しを」 欧州委員長演説
ユーロの役割拡大で新戦略提示を表明

ヨーロッパ
2018/9/12 21:57
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【ブリュッセル=森本学】欧州連合(EU)のユンケル欧州委員長は12日、仏ストラスブールの欧州議会で施政方針を演説した。外交では加盟国の全会一致原則を見直し、EUの国際的な存在感を高めるべきだと指摘。基軸通貨ドルに対抗し、単一通貨ユーロの国際的な役割を拡大させる新戦略を2018年末までに提案する方針を示した。通商や対イラン政策を巡るトランプ米政権との摩擦などを踏まえ、EU結束の立て直しを訴えた。

EUの執行機関トップの欧州委員長は年1回、欧州議会本会議で重要政策の方針を説明する。これが施政方針演説だ。19年秋に退任するユンケル氏にとって今回は最後の同演説となった。

ユンケル氏は「貿易・通貨戦争が起こりやすくなっている」国際情勢のなかで、EUが団結を深めて「グローバルプレーヤーになる時だ」と強調。南欧と北部欧州、西欧と東欧、右派と左派の違いを乗り越え、一丸となって世界的な存在感を増すべきだと呼び掛けた。

具体策の一つに掲げたのが通貨ユーロの役割強化だ。例えば、エネルギー輸入の約2%しか米国に頼っていないにもかかわらず、全輸入額の80%にあたる年3千億ユーロ(約38.8兆円)を米ドルで支払うのは「ばかげている」と主張。18年末までに「ユーロの国際的な役割を強化する戦略を提案する」と表明し、通貨統合を深める政策を打ち出す姿勢を示した。

加盟国の全会一致が原則の共通外交政策も、意思決定を早めてEUの国際的な存在感を強めるため、加盟国の規模などを加味した「特定多数決」の活用を提案。中国の人権問題を例にあげ、加盟国の足並みがそろわないためEUが沈黙するのは「正しくない」と批判。人権や非軍事活動の分野などでの導入を求めた。

当面、最大の懸案になる英国の離脱を巡っては「離脱した国が加盟国としての特権的な地位を維持することはできない」と明言。一方、離脱後の英国が「EUにとって普通の第三国になることは決してない」とも述べ、緊密な英・EU関係の構築が必要だとも訴えた。

ユンケル氏は日本とEUの経済連携協定(EPA)の発効と、21~27年のEU中期予算案の19年5月までの大枠合意も優先事項だと説明。具体的な政策分野では難民・移民に対応するため、20年までにEU対外国境の警備員を1万人増やすことを提案した。夏時間の廃止や、インターネット上からテロをあおる情報を削除するためのネット企業への新規制の導入なども正式表明した。

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