2018年9月19日(水)

ブラジル大統領選、刺された極右候補の支持率上昇
左派陣営は候補者差し替え

中南米
2018/9/12 19:07
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 【サンパウロ=外山尚之】10月7日投票のブラジル大統領選で、選挙運動中の襲撃で重傷を負った極右のボルソナロ候補(下院議員、63)の支持率が一段と高まった。過去の軍事政権支持や人種差別など過激な発言で知られる同氏だが、刺されたことで有権者の同情を集めたとの見方もある。一方、左派陣営のなかで有力な労働党は汚職で収監中のルラ元大統領(72)の擁立を諦め、候補をアダジ元サンパウロ市長(55)に差し替えた。

 ボルソナロ氏は6日に訪問先のミナスジェライス州で支持者向けの集会に参加していた際、刃物で腹部を刺され、重傷を負った。傷口を手で押さえ苦しむ様子が繰り返しテレビで流され、ブラジル社会に衝撃を与えた。

 大手調査会社ダタフォリャが事件後の10日に実施・発表した最新の世論調査では、ボルソナロ氏の支持率は24%と8月下旬の前回調査から2ポイント上昇。2位の左派のゴメス元財務相(60)に11ポイントの差をつけた。他社の調査でも同様の傾向で、独走態勢を固めつつある。

 女性や黒人への蔑視発言で「ブラジルのトランプ」と呼ばれるボルソナロ氏は不支持率も43%と全候補中、最も高い。仮に1回目の投票で過半数を得られず、10月28日に予定される決選投票に進んでも、苦戦するとの見方が根強いが、今回の襲撃事件がこうした状況を変える可能性もある。

 10日の調査では、環境保護活動で知られ支持率3位のシルバ元環境相(60)とボルソナロ氏が決選投票に進んだ場合、シルバ氏に投票するという回答が43%、ボルソナロ氏に入れるとの回答は37%。その差は8月の前回調査より縮小している。

 小政党のPSLを基盤とするボルソナロ氏の選挙運動はインターネットの交流サイト(SNS)も活用する。襲われた後は、ツイッターで「頑張れボルソナロ」という意味のハッシュタグがついた投稿が拡散されるなど、同情票がみられる。

 SNS頼りの選挙戦には限界もある。ボルソナロ氏が入院するサンパウロ市内の病院は10日、再手術が必要だと発表した。選対幹部を務めるボルソナロ氏の息子は当面、同氏が街頭に出ることはないと話す。政策よりも人柄が重視されがちなブラジルの選挙戦では演説の巧拙が勝負を左右するだけに、マイナス要素になる可能性がある。

 選挙戦の鍵を握るもう一つの不透明な要素は出馬を断念したルラ氏を支持する有権者の票が誰に向かうのかだ。ルラ氏が所属する労働党は11日、代わりの大統領候補として、当初は副大統領候補としていたアダジ氏を指名した。

 ルラ氏はブラジル高等選挙裁判所から出馬を認められず、その後上告して最高裁に請求を棄却された後も自らが出馬すると主張し続け、混乱を招いた。労働党は期限の11日になって候補者を差し替えた。結果的にアダジ氏は選挙戦に出遅れた。

 最新の世論調査ではアダジ氏の支持率は5位に沈んでいる。有権者の3割を超えるとみられるルラ氏の支持者の票はアダジ候補と同じ左派陣営のゴメス候補などに分散するとの見方もある。

 11日の外国為替市場ではブラジル大統領選の先行きの不透明感が強まったとの見方から、通貨レアルが売られ、対ドル相場は1ドル=4.15レアルの低水準で取引を終えた。

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