経済界訪中団が李首相に面会 日中関係の雪解け示す
【北京=石橋茉莉】経団連の中西宏明会長が参加する経済界の訪中団は12日、北京の人民大会堂で李克強(リー・クォーチャン)首相と面会した。李首相は会談冒頭、「両国が互いに経済・貿易協力のレベルアップを図ることが世界経済の回復を後押しする」と強調した。中西氏は「こういうときこそ様々なかたちで手を携え、自由貿易の旗を掲げておくことが非常に重要だ」と応じた。
中西氏と三村明夫・日本商工会議所会頭、訪中団の団長を務める宗岡正二・新日鉄住金会長が両国の経済協力の推進に向けた提言書を手渡し、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の年内の妥結を提案。同行筋によると、李首相は「年内に実質的に進展させたい」と発言したという。
中西氏は会談後の記者会見で「米中貿易摩擦という新たな困難が出てきて、互いに相互補完的な関係を再構築しようという提案が全体のトーンだった」と述べた。
経済界の訪中団は1975年に開始。李首相と会うのは2年連続だ。最近は日中関係が経済を中心に好転している。米中貿易摩擦が激化するなか、中国にとってアジアの経済大国である日本との関係の重みが増したといえる。停滞していた金融協力も5月の日中首脳会談で加速した。
一方で、日本側は中国に構造改革を進めるよう求めた。過剰生産能力問題を巡り、日本側は鉄鋼の供給能力削減を評価したうえで「さらなる構造調整が進むことを期待する」と要望した。
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