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全米テニス、セリーナが提起した米国の人権問題

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2018/9/14 6:30
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 大坂なおみ(20、日清食品)の日本勢初の四大大会優勝で、今年の全米オープンテニスは幕を下ろした。その女子シングルス決勝は、史上最多の四大大会24勝目、母親になって初めての優勝を狙っていたセリーナ・ウィリアムズ(米国)が荒れに荒れ、再三の規則違反を犯した試合としてテニス史に残るものとなった。大坂に気の毒という意見で一致する一方、米国内ではセリーナを批判する声ばかりではない。

 表彰式でもブーイングが鳴りやまなかった。かろうじてセリーナが大坂をたたえる言葉とともに自制を促し、式を終えると、米国テニス協会(USTA)のカトリーナ・アダムス会長は即座に「セリーナは表彰台で素晴らしいスポーツマンシップを見せてくれた」との声明を出した。

「男子との扱われ方に差」

 大会会場の名前になっている四大大会12勝のビリー・ジーン・キング(7月に日本で公開された映画「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」のモデル)さんは「黒人女性がリーダーシップに至るまでの道が、きょうほど閉じられていると思った日はない」とし、「セリーナと男子選手との扱われ方には差がある」と批判した。女子テニス協会(WTA)も、その意見に賛同した。

 セリーナを擁護する声に日本人は違和感を感じるかもしれないが、米国ではそうではない。「セリーナの怒りは当然だし、彼女はもっと擁護されて当然よ。だって女性が怒ったらヒステリーといわれるのがこの国だから。ましてそれが黒人女性だったら……。その大変さは想像を絶する」と、ある白人米国人女性に言われた。

試合を終え退場するラモス主審(左から2人目)=AP

試合を終え退場するラモス主審(左から2人目)=AP

 その代わりではないが、非難の嵐を受けているのが主審だったカルロス・ラモス氏(ポルトガル)だ。すべての四大大会決勝や、2012年ロンドン五輪の男子決勝の主審も務めたベテラン審判に対し、ラケットをたたき割った場面は仕方ないとしても、「そのほかの違反は罰則を与える前に『これ以上やると……』と注意をすべきだった」というものだ。

 事の次第はこうだ。大坂が第1セットを先取した後の第2セット第2ゲーム。セリーナのコーチが観客席で見せた両手でのジェスチャーが、選手へのアドバイスとみなされて「試合中のコーチング」で1度目の警告をとられた。このジェスチャーを見ていなかったらしいセリーナは主審に詰め寄った。ただ、コーチは米ケーブル局ESPNの取材にコーチングを認めたうえで、「誰もがやっている」と答えている。

 続いて第5ゲーム、大坂にブレークバックされてセリーナはラケットをたたきつけて壊してしまう。これで自動的に2度目の警告となり、1ポイントが大坂へ渡った。まだまだ怒りが収まらなかったか、第7ゲームの後、「女性が怒るとみんなひどい扱いをする。男性にはしないじゃないの。私からポイントをとりあげるなんて、泥棒」と叫んだセリーナに対し、「暴言」で3度目の警告。第8ゲームはプレーせずに大坂のものになった。もし4度目の警告を受けていたら、その時点でゲームセットになっていた。

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